3章を読了。忘れないうちに記録をとりたいと思います。
***注意はじめ***
以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。
また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。
当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。
***注意おわり***
今回のパートはほぼ裁判パートのみで構成されており、探偵パートによる現場検証がなかった。
ただ、事件が走行中の馬車の中で起こったという特殊な事例だったため、事件現場となった馬車自体が証拠品として取り上げられていた。
逆転裁判(よみがえる逆転)以降、証拠品が3D化され、360度回転させて新事実を発見させる仕様になったが、事件現場自体を丸々検証するのは初めてだと思われる。
むしろ、大英帝国の陪審員式裁判に主軸を置く為に考えられた事件設定だったのではないだろうか。
それにしても本作は1章から引き続き、もやもやする終わり方の話が多い。
1章では、真犯人は素顔を見せず、動機すら語らないまま法廷から去ってしまった。
2章では、不幸な偶然と思い違いによって親友が死んでしまった。
そして3章では、事件の真犯人がわからないまま、「有罪とするべき判断材料がない」という消極的な理由で無罪判決を勝ち取ってしまった。
「疑わしきは被告人の有利に」とする近代裁判の鉄則からすれば、確かにそれで間違っていないのだが、これまでの逆転裁判シリーズのストーリーからするとだいぶ邪道な結末である。
これまでにも依頼人側に悪人が混じっているケースもあったが、その都度事件の真相は明らかにされてきた。実行犯が誰で、動機は何だったのかというのも、一応の説明はされてきたにもかかわらず、今回はそれらが何も分からないままで事件が終わってしまった。
そもそもこの被告人、本当に犯人ではなかったのかすら疑わしい。自分に有利な証拠をいくつも捏造しているくせに、捏造したという証拠を残さなかった手際といい、怪しいとしかいえない。
凶器のナイフに刻印された「M」の文字は、いったい誰のものだったのか。
被告人のものではないとすると、考えられる人物が一人いる。
しかしその人物はまだ登場していないうえ、登場するのかすらわからない。
ただ、シャーロック・ホームズが出てくるのであれば、その最大のライバルである人物、モリアーティ教授がいないというのは不自然だろう。
そのあたりは今後の展開に期待である。
また、裁判終了後にようやくアイリスが初登場。
事件の証人だったスリの少女、ジーナ・レストレードを捕まえるためにやってきたため、名乗る暇もなく嵐のような勢いで去ってしまった。思った以上に子どもっぽい性格の模様。1章で亡くなってしまったワトソン博士との関係も早く知りたいところである。
最後に、ライバル検事役のバンジークス卿について。
彼が出廷した裁判では、被告人は助からないという伝説をもち、「死神」の異名で知られるバンジークス卿。ワインを片手に成歩堂を冷徹に追いつめていく様子を想像したが、思ったよりも手ごわくはなかった。そもそも、被告人が無罪判決を勝ち得たきっかけが、検察側の証拠保全に問題があったためである。事件の真相を調べるべきと主張していた成歩堂はバンジークス卿をかばったが、やはり検察側に落ち度があったといわざるを得ない。
なにぶん「逆転」が売りのシリーズのため、ライバル役には敗北の運命しか待っていない。そのため敵役が大したことがないように見えてしまうのも、話の構造上しかたがないとも言える。
ただ、裁判終了後の展開はすこし意外なものだった。
「死神」の面目躍如といえばいいのか、確かに被告人は「助からなかった」。
今後どんな話が待っているのか、何だかんだ言いながらワクワクしている。