悪意ある善人による回顧録

レビューサイトの皮を被り損ねた雑記ブログ

ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌

昨年録画したまま存在を忘れかけていた映画を発見したため、記録を残したいと思います。

 

***注意はじめ***

以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。

また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。

当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。

***注意おわり***

 

●概要

呪い歌に秘められた、人と妖怪の許されざる恋。

「かごめ歌」を聞いた若い女性が失踪、現場には必ず「銀の鱗」が残されている……という怪事件が続発していた。その事件に巻き込まれた女子高生・楓とともに、謎の解明に乗り出した鬼太郎たちは、千年の時を経て蘇った悪霊が原因であることをつきとめる。悪霊の呪いを封印するためには古の“楽器”を集めなければならない。楽器を求め、古地図に記された「天」「地」「海」の場所へ旅立つ一行。けれども事件の裏側には、かつて許されざる境を越え、無残にも引き裂かれてしまった妖怪と人間の恋物語があったのだ。あまりにも哀しい真実に驚き、戸惑う鬼太郎と楓。そして更なる恐るべき事態が二人を待ち構えていた・・・!
楓の身に破滅の時が迫り来る中、鬼太郎は、自身に課せられた運命を乗り越えて、楓を、人間を守ることができるのか……!?

 

フジテレビムービー:ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌 - フジテレビ

 

 

 

●感想

2015年11月30日。日本を代表する偉大なる漫画家のひとり、水木しげる氏が亡くなられた。

表題の映画はその哀悼番組として2015年12月4日に放送されたものを録画した。

 

なお本作が公開されたのは2008年である。

水木しげる氏の手がけた同名漫画を原作とする実写映画の2作目となるが、物語は映画オリジナルストーリーとなっているとのこと。

主演は1作目に引き続きウエンツ瑛士氏。

 

 

当方、ゲゲゲの鬼太郎を見ていたのが十数年も前のことになるため、基本的な設定をほとんど忘れていた。鬼太郎をはじめとする登場人物は見ればわかるのだが、細かい人間関係などがすっぽり頭から抜けていたのである。そのため、実写とはいえ久々に見る鬼太郎は新鮮な感じがした。

 

ストーリーは至って単純明快。巷で騒がれている失踪事件の影には妖怪が潜んでいた。その妖怪・濡れ女に狙われた女子高生・比良本楓を鬼太郎たちが助けるという物語である。

 

鬼太郎は人間たちから邪険にされても、困っている人間を見捨てられないという典型的なヒーローとして描かれていた。アニメや漫画がどうだったかうろ覚えのためとやかく言うべきではないのかもしれないが、こんな高潔な存在なんてそうそう転がっているのだろうか。やはりこれも主人公補正というものなのか。

 

ゲストである楓の思考にも疑問がある。楓は鬼太郎と出会った当初から物怖じすることなく鬼太郎に接していた。人間からしたら化け物のような存在である鬼太郎に、である。そうとう図太いのか、それとも器が大きいのか。

また、楓が濡れ女に狙われていることがわかると鬼太郎ファミリーの面々は彼女を助けようとするのだが、楓はその申し出を邪険に断ったのである。そうかと思えば濡れ女を封印するためのアイテム探しを手伝ったり、濡れ女の過去の話を聞かされるとやっぱり封印するのはやめようと言い出したり。どうにも考えがコロコロ変わる女子である。「アンタ助かりたいの死にたいのどっちっっっ!?」となんどツッコミを入れたか数え切れない。

 

キャストに関しては、あまり言うべきことがない。妖怪役の面々はかなり濃い目にメイクを施されていたため、もとの顔がわからない俳優・女優が多かった。演技に不自然な点はないから良かったものの、これでは誰が誰だかわからない。強いて言えば大泉洋氏の扮するねずみ男役の下衆っぷりがキラリと光っていたことくらいだろうか。

 

それらに目を瞑りさえすれば、ストーリーの展開がわかりやすいうえ、アクション要素も豊富なため純粋に楽しめる映画である。大人は趣味によって判断が分かれるだろうが、小学生の子どもがいるファミリーなどに向いている映画ではないだろうか。

 

ただし最後に一言。

この映画を見ると、本当の悪は妖怪ではなく人間のほうなのではないかとしか考えられなくなりそうな気がする。それだけは注意が必要かもしれない。(事実だから注意する必要がないともいえるが)