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悪意ある善人による回顧録

レビューサイトの皮を被り損ねた雑記ブログ

終着駅シリーズ・善意の傘 森村誠一作家50年記念

ハードディスク内の整理のため、録画しっぱなしだったドラマを鑑賞いたしました。
 

***注意はじめ***

以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。

また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。

当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。

***注意おわり***

 

●概要

 東京・西新宿の空きビルで女性の絞殺死体が発見され、牛尾正直(片岡鶴太郎)ら新宿西署の刑事たちが臨場した。殺されていたのは、秋葉千恵子(川上麻衣子)という主婦で、夫の武士(小木茂光)によれば、千恵子は生命保険会社の営業職でトップの成績を誇っていたが、3カ月前に仕事を辞め、現場となった空きビルを買い取ってビューティーサロンを開く予定だったという。
  携帯電話の通話記録から、被害者は午後8時16分にかかってきた電話に出ていることが判明、その直後に殺されたものと思われた。だが、最後の通話相手の名を聞いた牛尾は驚く。その女性、山野京子(葉月里緒奈)は1年前、突然の雨に困惑する牛尾に傘を差し掛けてくれた善意の人物であり、牛尾と出会ったその夜に夫を何者かに殺されていたのだ…。

 

http://www.tv-asahi.co.jp/dwide/contents/nextweek/0380/

 

 

 

●感想

2015年9月26日にテレビ朝日で放送されたスペシャルドラマ。「終着駅シリーズ」は牛尾正直刑事を主役とする不定期のドラマであり、今作で29本目とのこと。

原作は森村誠一氏の小説「完全犯罪のエチュード」に収録された短編 「善意の傘」。

 

森村誠一氏というと真っ先に思い浮かべるのは「人間の証明」である。というより、これ以外の作品はあまり思い出せない。ドラマスペシャルなどでよく原作者として名が挙がっているのを見ているはずなのに、「これだ」という作品は「人間の証明」だけである。

 

なお、主演は片岡鶴太郎氏。

 

 

まずはドラマの構成について。

もとが一冊の本の中の小話だからなのか、ムリヤリ2時間に引き伸ばしているような感覚が常にあった。おそらく「終着駅シリーズ」を見たのは始めてなのだが、主役の牛尾刑事の独白シーンが非常に多く、かつ長いことが特徴的だった。1時間もののドラマだと、その事実にたどり着くまでの展開を複数人の会話の中で描くはず、といったシーンが散見された。同じセリフを場面を変えて何度も言わせる、あえてゆっくり話すということもやっていたような気がする。

 

ストーリーについては、なんといえばいいのか。

1年前に新小金井で起きた撲殺事件と、西新宿で先日起きた絞殺事件のどちらにも関係する女性・山野京子がいるが、彼女には一応のアリバイが成立している。どちらの事件においても、被害者たちが死んだと思われる直前に彼女は被害者たちと電話していたのである。

 

極端に登場人物が少ない話のため、彼女が犯人であることはほぼ間違いないと思っていた。電話のトリックについても、被害者の携帯電話を持ち歩いていれば自分宛に電話して着信履歴を残すことができるはず、ということはおぼろげに見当がついていた。

 

犯人探しという点においては、牛島刑事が山野京子の証言を信用していたせいか、すこし遠回りしている印象を受けた。もし彼女が犯人だとしたら、それなりに筋の通った説明ができる。それにもかかわらず、ほかの可能性を探そうとしているように思えた。

 

最終的に山野の言葉にウソがあったことがわかってしまい、彼女を本星と定めたあとの展開ははやかった。ただし、事件の背後で何があったのかという回想シーンが20分近くあったため、少々冗長でもあったが。

 

登場人物たちについて思うことは、ちょっと取り止めがない。

保険の女性外交員って怖いな、口が回るから悪巧みもうまいのかしら。あと、勝手に恩を着せておいてそれをネタに人殺しまでさせようって、どんな極悪人ですか。

失職してDVに走った山野京子の旦那さん、そんなに自分よりも学歴も地位も上の女性が嫌ならどうして結婚なんかしたンすか。そんなに惨めならさっさと別れてしまえばよかったのに。

山野京子さん、あなたが携帯電話で聞いていたのは幻聴ですから。そのとき既に旦那さんは亡くなっています、目を覚ましてください。

 

……総括すると、1時間のドラマでもいい題材だったのではないだろうか。

タイトルにもある「善意の傘」(駅などに置いてある無料レンタルの傘。近年はまるっきり見かけなくなった)が事件のキーアイテムだったわけだが、どうしてなのか印象が薄い。やはり独白が長すぎた気がしてならない。