悪意ある善人による回顧録

レビューサイトの皮を被り損ねた雑記ブログ

臨床犯罪学者 火村英生の推理 第5話

***更新(2015年2月23日)***

タイトルの誤りを修正。

 

 

 

もはや説明不要の周回遅れです。

 

***注意はじめ***

以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。

また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。

当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。

***注意おわり***

 

第5話は、とある女性タレントが所属事務所の社長に殺された。彼は自分に疑いがかからぬように現場を偽装し、平然と嘘の証言をしてのける。現場に呼び出された火村と有栖川は、社長の犯行を証明できるのか……などの展開だった。

 

今回は、物語の冒頭から犯人がわかっている古畑任三郎スタイルで展開された。

 

しかし、火村たちが事件現場に呼び出される前に、大きく分けて二つの話が進行した。

 

ひとつめは、シャングリラ十字軍の指導者・諸星と火村との会話である。それまでの電波的な話口調とは打って変わって、諸星は火村に対して高圧的で断定的な振る舞いをする。諸星は、昨今たて続いているシャングリラ十字軍関係者の殺人事件が、未成年の少年による犯行だとの推測を火村に話す。なぜそんなことがわかるのかと火村が訪ねると、彼女は「お前にもわかっているはずだ」と切り返す。この殺人事件は、「人を殺したいと思った」だけの人間による犯行である。つまりは諸星と、火村に共通する資質を持った人間の仕業と言うわけだ。

 

これに対して火村は、「どんな理由があれ、理性の枠を超えて犯罪に踏み切ってしまったすべての犯罪者を憎む」と発言する。

この言葉が「本当は人を殺したいのに理性の枠が押さえつけていて殺せないことによるやっかみ」なのか、彼が真に理性的な人間だからこそのものなのかは、まだわからない。

 

 

ふたつめの話は、火村のゼミを履修する貴島朱美(山本美月)が火村に事件の捜査を依頼しに来た件である。貴島はいまのところメインの話に絡んでこない脇役だが、次回の話は彼女のトラウマの原因となった事件についてらしい。そのため、詳細は次回に述べたいと思う。

 

 

さていよいよ今回の事件についてだが、犯人がすでに割れていることから、今回の見せ場は火村と有栖川がどうやって犯人の犯行を証明するかに掛かっている。それに関しては犯人が自ら火村たちに物証を手渡してしまったことが決め手になったわけだが、そんなに上手くいくのかとつっこみたい気持ちにもなった。

電車はICカードで移動し、昼食は小銭で食えたから、犯人はお札を使っていないはず――という理屈は、筋が通っているようで希望的予測を多分に含んでいたように思える。状況から犯人が疑わしいことは間違いないのだが、そのお札がなければ決定的な証拠がない事件とも言えたため、事件解決は運によるところが多かった気がしないでもない。

 

 

また、今回の事件では昨今頻繁に耳にするようになった「サイコパス」という言葉が盛んに登場した。

 

精神病質(せいしんびょうしつ、英: psychopathy、サイコパシー)とは、反社会的人格の一種を意味する心理学用語であり、主に異常心理学や生物学的精神医学などの分野で使われている。その精神病質者をサイコパス(英: psychopath)と呼ぶ。

(中略)

サイコパスは異常であるが病気(いわゆる精神病)ではなく、ほとんどの人々が通常の社会生活を営んでいる。そのため、現在では精神異常という位置づけではなく、パーソナリティ障害とされている。そのため、日本では反社会性パーソナリティ障害と名称されている。

精神病質 - Wikipedia

 

反社会性パーソナリティ障害(はんしゃかいせいパーソナリティしょうがい、英語: Antisocial Personality Disorder、ASPD)とは、法律といった規範や他者の権利や感情を軽視して、人に対しては不誠実で、欺瞞に満ちた言動を行い、暴力を伴いやすい傾向があるパーソナリティ障害である。診断には、子供の頃は行為障害(素行症)であった必要がある。加齢と共に30代までに軽くなる傾向もある。

反社会性パーソナリティ障害 - Wikipedia

 

サイコパスというと、すなわち凶悪犯罪者というイメージがまとわりつく言葉であるが、実際にはそういう意味合いは含まれていないらしい。

人への共感能力がなかったり、極端に自分本位だったりと、その社会における標準から逸脱した「わがまま」な人々のことを指す、くらいの意味合いなのだろうか。その性質がいきすぎた結果、犯罪に走ってしまう人もいる、と。

 

今回の事件の犯人も、そうした反社会的な性格の持ち主だったらしい。

ずっと被害者を殺したかったような気もするが、具体的な理由はわからないと犯人は言っていた。

わけもわからないのに、何となく人を殺したのだという。ただ、いま殺せば自分に疑いが向かなさそうだから、とりあえず殺しておこうと、そういうわけらしい。

 

……こういう人をサイコパスと表現するなら、やはりサイコパス=犯罪者 or 犯罪者予備軍という認識はそこまで大きく外れていない気がするのだが、そんなことを言ってしまうと差別主義者だと後ろ指をさされてしまうのだろう。

 

かねてから標榜しているとおり、筆者は独断と偏見によるものの見方しかできない粗忽者であり、これ以上ないほど器の小さい差別主義者である。批判したければ如何様にも批判するがよい。どうせ聞く耳すらも持たない偽善者である。馬の耳に念仏であると心得ておくとよい。

 

 

はやく次の話が見たいのに、またしても周回遅れになってしまうことが悲しくて仕方がない。