悪意ある善人による回顧録

レビューサイトの皮を被り損ねた雑記ブログ

乱歩奇譚 Game of Laplace 第1話

ハードディスクに大量に保存されたアニメを崩していくことにいたしました。手始めに、前々から気になっていたミステリー系の作品をご紹介。

 

***注意はじめ***

以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。

また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。

当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。

***注意おわり***

 

「乱歩奇譚 Game of Laplace」は2015年7月から9月までフジテレビ・『ノイタミナ』枠にて放送されたアニメ作品。

江戸川乱歩の没後50周年を記念して製作された、乱歩作品を現代リメイクした物語である。

 

乱歩のリメイク作品では、2004年に日本テレビで放送されていたTVドラマ「乱歩R」があるが、アニメにおけるリメイク作品は初めてではないだろうか。この辺の事情はあまり詳しくないため恐縮だが。

 

 

第1話は「人間椅子(前編)」。奇しくも「乱歩R」の第1話もこの話をモチーフにしたものだったと記憶している。

 

物語は、女生徒と間違えられるほどの美少年・コバヤシ(13歳)が教室で目を覚ましたところから始まる。床に転がされていたコバヤシ少年の手には血まみれの糸鋸が握らされており、目の前には無残な姿となった担任教師の遺体。遺体は首と四肢が切断されており、禅を組むかのような不自然な格好で放置されていた。

 

コバヤシは真っ先に警察に疑われるが、まったくの平静。動じないどころか、疑われていることが楽しい、こんなにワクワクすることはないと目を爛々と輝かせる始末。遺体を発見したときに一切驚かなかったことから感性のぶっ飛んだ少年だとは思っていたが、予想を遥かにこえたイカレっぷりである。

 

そんなコバヤシのことを心配するのは、彼のクラスメイトであるハシバ(14歳)。生徒会長で財閥の御曹司という冗談のような設定だが、この物語における常識人の立ち居地の模様。彼を疑う警察に食って掛かったり、妙に事件に食いつくコバヤシを引き止めようとしたりと、何かと吼えて回っていた印象が強い。

 

そして乱歩作品に欠かせない名探偵といえば、明智小五郎であろう。本作ではアケチという17歳の高校生として登場するが、まだ下の名前は名乗っていない。彼は警察の捜査に協力する見返りとして、学校に通わないことを政府によって許可された特別待遇の人間なのだという。この物語の世界では、日本国はそのような優秀な人材を秘密裏に囲って、活躍の場を提供、ないし監視しているようである。国が特定の人間にだけ特権を与えることは憲法違反であると本作でも指摘されていたが、そうでもしないと優秀な人材を埋もれさせてしまうため、必要悪として求められる仕組みなのだという。

 

このアケチという少年もなかなかの曲者である。ミステリーに登場する探偵に往々にして見られる態度ではあるが、彼もまた凶悪事件をゲームだと認識し、その解決を目指すことにしか興味を示さない。頭が良すぎるゆえに、人間らしさを感じさせない。初見ではそのような人物に写った。

 

第1話は、各登場人物の性格を説明するための導入部といった位置づけだったように思う。重要でない人物(モブ)を徹底してシルエットだけで描写するなど、あまり見慣れない演出も手伝って不気味な世界観を醸し出していた。

 

さて、第1話の終盤ではバラバラ死体で発見された担任教師が、実は連続殺人鬼だと発覚し、その共犯者としてコバヤシ少年が逮捕されてしまうというところで終わった。

 

担任教師は、自分の自宅にいくつものバラバラ死体を保存してあり、それらをイスの形に加工していたのである。それが、今回の話のタイトルにもなっている「人間椅子」だ。

 

確か原作の人間椅子は、ソファのような大型のイスの布地に死体を詰め込むことで、まるで誰かに抱きとめられているような触感を演出する、といった椅子だった気がする。これもまたアレンジの一つなのだろう。

 

はてさて、次回が気になるところではあるが、いつ見れることになることやら。

 

これもまた、アケチがコバヤシ少年に言っていたセリフ「好奇心に殺される」ということになるのだろうか。