ハードディスクに保存してあるアニメを絶賛崩し中です。
***注意はじめ***
以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。
また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。
当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。
***注意おわり***
第10話は「変身願望」。
アケチの旧友にして「怪人二十面相」の産みの親、ナミコシは生きていた。コバヤシ少年をさらったナミコシは、なぜ彼が「怪人二十面相」を生み出したのか、その哀しき過去を語り始める……などの展開だった。
乱歩奇譚の世界が物騒だということは前々から指摘していたと思うが、まったくこれでよく秩序が保たれているものである。
異常な両親からの虐待、同級生からの執拗なイジメ、保身に走る教師や同級生たちの無関心。
天才少年ナミコシを助けてくれる人間は誰一人としていなかった。心穏やかで物静かだった彼はそうして自分の殻に閉じこもっていく。しかし、そんな彼に手を差し伸べた人間がひとりだけいた。
それこそが、当時まだ14歳だったアケチだったのである。
ナミコシはアケチと共に「未来を確定させる数式=暗黒星」を開発している間だけは、辛い時間を忘れられた。いつしか数式の完成は彼にとってのすべてになっていた。
しかしある日、同級生たちのイジメはエスカレートし、授業中にもかかわらずカッターナイフでナミコシの顔を切り刻むという凶行に走る。
普段から授業をさぼりがちだったアケチは、ナミコシが被害にあったことをあとで知った。顔に大きな傷痕が残るほどのケガをしたナミコシだったが、両親は彼をびょ印には連れて行かなかった。連れて行けば、自分たちが彼にしていた虐待の事実までもがバレてしまうからである。
この一件のあと、ナミコシに危害を加えた同級生たちは、今度はアケチをターゲットにしようと企て始める。それを知ったナミコシは、ついに押さえ込んでいた憎悪の感情を解き放ってしまった。
「暗黒星」を用いて、ターゲットを事故死に導くために必要な行動を算出し、実行する。
結果として、両親も、イジメのグループも、教師さえもが全員事故によって死亡した。
連続する不審死に疑問を思ったアケチはナミコシに問い詰め、「暗黒星」の開発を中止するように訴える。このまま「暗黒星」の開発を続けていれば、開発者のうちどちらかが死ぬことになるとわかってしまったからだ。
それでもナミコシは開発を止めなかった。
彼の目標は、いつしか人類の変質を目指すことへと変わってしまったのである。
ナミコシによって拉致されたコバヤシ少年は、彼の話を嬉々として聴いていた。「暗黒星」を完成させるために、コバヤシ少年に死んでもらいたいと言われているにもかかわらず。
次回、ついに最終回。
混沌とした物語にどのような結末が訪れるのか、見ものである。