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悪意ある善人による回顧録

レビューサイトの皮を被り損ねた雑記ブログ

99.9―刑事専門弁護士― 第6話

ドラマ 邦画

 

***注意はじめ***

以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。

また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。

当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。

***注意おわり***

 

第6話は、18年前に依頼人の父親が自殺したという事件の真相が殺人事件だったことに気づいた深山。真犯人を追いつめようとしたが、その人物は飄々と深山の追及をかわす。いわく、自分は公明正大な場で証言をしたのだから、絶対に警察に捕まることはないのだと……などの展開。

 

 

真犯人である男は、自分が犯した殺人の罪を逃れるために、18年前当時に世間を騒がせていたとある殺人事件の目撃者として名乗りをあげた。

 

その証言を聞き調書を取ったのが、現在の深山の上司である佐田である。しかし佐田は当時、その証言が不自然すぎるほど詳細だったことから主任検事に事件の再捜査を上申していたらしい。だが当時の主任検事は出世に目が眩んでいたのか、佐田の申し出を無視して、不確実な目撃証言だけを頼りにその殺人事件の犯人を起訴してしまった。

 

結果、その事件で犯人とされた若者は無期懲役の確定判決を受け、自身の無実を訴えたまま獄中で病死してしまった。

 

そして18年後の現在、当時の警察や検察がやらなかった見直し捜査を深山たちが独自に行った結果、その若者が犯人とされた証言が完全なる嘘であることを証明した。

それも、目撃者が目撃したと言っていた場所が当時通行止めになっていたため、闘争する犯人がその道を通れたはずがないというもの。誰か一人でも現場に趣いて調べていればアホでもわかるような矛盾だったにもかかわらず、18年もの間無視されつづけていた。

 

警察も検察も、自分のミスを絶対に認めたがらない。だから、たとえあとから冤罪がわかったとしてもそれを絶対に認めようとはしない。被告人が獄中死しているならなおさらである。死人に口なしといわんばかりに罪をかぶせようとする。

 

ただしそんな腐った権力構造の中でも、かつて深山を苦しめた丸川検事は迷っていた。調書を見ているうちに、彼も事件の真相に気づいてしまったのである。

上役たちは自分たちの保身のために冤罪事件をそのままもみ消そうとしている。しかし、冤罪であることはもう疑いはない。彼は独自に事件を調べなおす。

 

しかし丸川検事が動いていたときには、深山や佐田たちは真犯人を自首させるところまで至っていた。横恋慕とはなんとも愚かなマネをしたものである。人の恋路を邪魔するヤツは馬に蹴られて死んでしまえとは良く言ったものだ。

 

それにしても、当時の警察は中々にあくどい方法で関係者から調書を取っていたこともわかった。殺人事件の被害者の友人は、犯人とされた若者と被害者の女性が口論していたとしか言っていないのに、しつこく付き纏っていて怖いだの何だのとその人物が言ってもいないことを調書に書き入れたうえで、ろくな説明もなく調書にサインを求めてきたのだと言う。

 

もし万が一、自分や周りの人間が捕まったり参考人として証言を求められたりしたら、『絶対に』警察の調書に署名してはならない。少なくとも、自分自身で調書の文面を『全文』読んで、絶対に曲解ができないような文章であることを確認した上でなければ署名してはならない。

 

この警察調書に署名すると言う行為が、その証言が証言者自身の意思に基づいてなされたものであるとみなされてしまうからである。少なくとも、怠慢な裁判所はそう自動的に判断する。本当はそんなことを言っていなかったのに調書に書き込まれていることに気づかずサインしてしまったばかりに、自分にとって不利に裁判が進んでしまったという事例は呆れるほどに多い。痴漢冤罪事件でもうんざりするほど多いのである。

 

仕事に必死になることと、罪もない人を陥れることは断じて異なる。自分勝手な正義を貫こうが惰性で働こうが勝手にすればいいが、無実の人を捕らえて罪に問うことだけは絶対にやめてもらいたい。今回の物語に関わったすべての人間はその責任を感じるべきだろう。

 

 

さて、わりとどうでもいい話ではあるが、今回の話の冒頭で深山の助手・明石が何の説明もなく重傷を負っており、しかも誰もそのことに触れてくれないというシーンがあった。オマケに所長と所員が大勢で「rock you」のリズムを刻んで松葉杖を就いている明石をからかう徹底ぶりである。明石には悪いが、毎度毎度おもしろおかしく笑わせてもらっている。このドラマの清涼剤になっているといってもいい。

 

それにしても、佐田が悪徳検事でなかったことにはホッとした。いつぞやの大和田常務よろしく彼が独断で冤罪を生み出していた張本人だったらどうしようかと思ったが、彼は彼なりに職務を全うしていたらしい。だが悲しいかな、やはり公務員、上の指示には逆らえなかったらしい。

 

このドラマ初の前後編が終わり、次回はまた1話完結に戻るのだろうか。予告編から完全犯罪がどうのと不穏な文字が躍っていたが、果たしてどうなることやら。