悪意ある善人による回顧録

レビューサイトの皮を被り損ねた雑記ブログ

逆転裁判6 その1


***注意はじめ***

以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。

また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。

当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。

***注意おわり***

 

●概要

とある目的のため、神秘と信仰の国《クライン王国》を訪れる成歩堂 龍一。
だが、異国情緒豊かなクライン王国の名所を観光している最中、ガイド役の少年が突然逮捕されてしまう。
少年を心配して法廷に入る成歩堂。そこで、前代未聞の裁判を目の当たりにする。

この国の法廷は弁護士が必要とされない“あきらめの法廷”と呼ばれていた‥‥

弁護士が不在の裁判とは‥‥一体!?

 

 

 

 

●感想

 

逆転裁判6」は2016年6月9日に発売されたニンテンドー3DS用ソフト。15年目に突入した大人気アドベンチャーゲームの最新作である。

 

本作は逆転裁判1~3および5の主人公・成歩堂龍一と、逆転裁判4の主人公・王泥喜法介の2人が主人公を務める。

 

現在アニメで放送されている逆転裁判1の世界からは11年後となっており、シリーズ開始当初は新米だった成歩堂もいまではベテラン弁護士に足を掛けつつある。

 

一方、逆転裁判6の世界からは2年前に相当する逆転裁判4から登場した王泥喜は、紆余曲折あって成歩堂の弁護士事務所に所属している。いまでは成歩堂とは上司と部下の関係になっている。

 

逆転裁判5でも王泥喜が弁護を担当する話こそあったものの、メインの主人公は成歩堂だった。それが近作は『W主人公』と銘打っているだけあって、今までとはストーリーの作り方が異なっている。

 

成歩堂は概要で述べたように「ある目的」のためにクライン王国なるアジア系(?)の王立国家を訪れており、そこで様々な事件に遭遇することになる。かたや王泥喜成歩堂不在の日本でやはりさまざまな事件に巻き込まれることになる。この二人の視点が章ごとに入れ替わりストーリーは進行していくらしい。そうなると、これまでのように4~5章構成だと若干尺不足になってしまうのではないかと思われるから、最低でも6章構成にしているのではないかと考えられる。

 

概要はここまでとして、1章の感想に移りたいと思う。

 

上記でも述べたように、成歩堂は「ある目的」のためにクライン王国を訪れた。ゲームは彼がクラインに訪れてから一ヶ月後のアニメーションシーンから始まる。

 

何らかの理由によって怒りに燃える民衆たちがこぞって裁判所に乱入し、暴動が発生する。ナレーションを務める成歩堂は、こんな事態になるとは予想していなかったという。そして成歩堂がクラインに訪れた初日へと時間は遡り、ようやく物語は進行する。

 

成歩堂がクラインに訪れた目的。それは、かつて彼の助手を務めていた少女・綾里真宵を迎えに来ることだった。とはいえ、逆転裁判1のときに17歳だった彼女も、今では28歳になっている。成歩堂の師匠にして真宵の姉・千尋よりも歳をとってしまった真宵がどのような雰囲気になっているのか、非常に気になるところではある。

 

事件は成歩堂がツアーガイドの少年、ボクトに寺院へ連れられたときに発生した。

 

寺院にて姫巫女・ラティファが奉納舞を踊っているのを見学していたとき、突如として衛兵たちが銃器をもって成歩堂たちを取り囲み、ボクトを「国家反逆罪」で逮捕してしまったのである。

 

わけもわからず連れて行かれるボクトを追いかけて、成歩堂は裁判所まで彼らを追いかける。

 

そこでは成歩堂はもちろんのこと、プレイヤーでさえ度肝を抜く恐ろしい裁判が行われていた。

 

このクライン王国の裁判では、姫巫女が行う「霊媒」によって死者の記憶を水鏡に映し出し、それをもとに有罪判決を下しているのだという。

 

逆転裁判1~3ではたびたび成歩堂を助け、あるいは悩ませてきた「霊媒」という異能が、このクライン王国では当り前のように使われているのである。これまでのシリーズでも「霊媒」や「見抜き」などといったファンタジー的要素は散りばめられていたものの、今回の逆転裁判6ではこれが物語の主軸となるらしい。随分大きく出たものである。

 

それだけでも裁判としては驚きなのに、もっと恐ろしいことにクライン王国では23年前から「弁護罪」なる法律が制定されている。これは、被告人が有罪判決を受けた場合、被告の弁護人も被告と同罪になるという信じがたい法律である。たとえば、被告が死刑に相当する罪で有罪判決を受けると、その被告を弁護していた弁護人も等しく死刑になってしまうのである。

 

これらの事情が合わさって、この国の裁判所は「諦めの法廷」と呼ばれ、弁護士不在のまま裁判が開かれているというのだ。現実の世界ならすぐにでも国際連合に目をつけられそうな野蛮な司法制度だが、この国ではこれがまかり通っているのだと言う。

 

成歩堂のツアーガイドをしていた少年・ボクトは、国の宝を盗んだ容疑と、その宝を警護していた人間を殺した容疑で裁判にかけられた。有罪ならば、たとえ9歳の少年であっても死刑になるという。成歩堂は最初、そんな事情も知らないで勢いのままにボクトの弁護を担当することになる。

 

 

第1章は逆転裁判全シリーズ共通のイントロダクション的な事件となっていた。「つっこみ」「ゆさぶり」といった要素の使い方はもちろん、今作における新要素である「宣託の儀」(=死者の記憶と証拠品との矛盾を突く)の使い方も解説された。

 

「宣託の儀」は、被害者が死ぬ数秒前の記憶を視覚映像で水鏡に表示させるというもの。さらに、被害者が五感で感じ取っていた情報を単語や文で合わせて浮かび上がる。やっていることは証拠品と証言の矛盾を付き合わせる「つっこみ」と変わらないのだが、操作がなれていないせいか若干難しくも感じた。

 

事件のどんでん返しもシリーズ恒例の出来となっており、中々楽しませてもらった。1章だけでだいたい2~3時間くらいで終わっただろうか。

 

ただ、事件の物象となった箱に血痕がついたというくだりだけがどうしても解せない。被害者が後ろから殴られたとき、箱は被害者の前に抱え込まれていた。その状態で持たれていた箱に、あそこまではっきりとした手形の血痕が付着するものなのか。だれか重症なファンの人やら空想科学読本やらが検証してくれるとおもしろいかもしれない。

 

 

1章はほとんど裁判パートだけで終わってしまったため、真宵の登場はもう少し先になりそうである。

 

今後の展開が気になるところだが、今日はもう眠いためこの辺で終わりにしたいと思う。