悪意ある善人による回顧録

レビューサイトの皮を被り損ねた雑記ブログ

99.9―刑事専門弁護士― 第9話

***注意はじめ***

以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。

また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。

当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。

***注意おわり***

 

第9話は、鉄道会社の会長が自宅で殺害された。斑目所長の命令で現場に急行することになった深山・佐田・立花の三人は、会長の遺体を目撃する。深山たちは一堂に会していた会長の家族たちから詳しい話を聞く。すると三男の妻が、自分が会長を殺してしまったと告白し……などの展開。

 

今回はどういうわけか15分拡大スペシャルと言うことで、ほんの少しだけボリュームがある話となっていた。

 

というのも、金持ちの一族が8人近く登場しているせいで、彼らとのやり取りを扱うために時間がかかってしまったからである。

 

殺人現場を自分勝手に捜査する深山の自由さは相変わらずで、そんな彼の暴走に慣れてきたのか、佐田の突っ込みも容赦がなかった。上司と部下というより、悪友といった様相である。

 

それにしても、どうしてこう金持ちの家というのはああも無駄にデカイのだろうか。

 

あの大きな間取りの家や無駄にでかい門なんかを見ていると、無性に爆発すればいいのにと思えてしまう。べつにー、贅を尽くした金持ちが何人死んだところでどーでもいーんですけどー、とまでは言わないわけがない。正直どうでもいい。

 

しかし、殺人を自白した三男の妻というのが庶民の出であり、特権意識にどっぷりつかった一族全員から迫害されていたと聞かされたら事情は変わってくる。彼女が本当に犯人なのか疑わしい。なぜなら、事件現場となった会長の自室における家族たちの証言が、不気味なほどに一致しているからである。

 

このことからして家族全員がグルになって何かを隠そうとしているのは丸わかりだった。どうせ真犯人を庇っているのだろうが、いったい誰が犯人なのかはわからなかった。

 

そこは企業法務出身で無駄にコネが多い佐田の力によって解決した。事件当時現場にいなかったと主張していた長男が、本当は現場にいたことを証明したのである。

 

結局犯人はこの長男だったわけだが、それならどうして三男の妻は『自分から』事件の犯人になると言い出したのか。

 

今回の話は、深山たちにとっては敗北も等しい結末が待っていた。

 

彼女は一族全員からいじめられていたことを深く憎んでいた。だから、自分が長男の罪を被るという計画に巻き込むことで、一族全員を「犯人隠匿」によって財産相続の権利を失わせようとしたのである。

 

しかも彼女がしたたかなのは、そうして自分が犯人になりながら、深山たちには「自分が犯人ではない」というヒントを的確に示し、まんまと長男を逮捕に導いたことである。そのうえ、彼女のおなかの中には三男の子どもがいる。だから、一族全員が財産の相続権を失ったとしても、彼女の子どもに『だけ』は相続権が発生する。つまり、会長の莫大過ぎる財産をたった一人が相続するのである。

 

三男の妻の所業は深山の推理によって明らかにしたものの、何一つとして証拠がなかった。だから、三男の妻を何らかの罪に問うことはできない。深山たちは最初から嵌められていたのである。

 

ただまあ、性悪な金持ちたちが自分たちの行いが原因で破滅したという結末なのだから、深山たちがやり込められたからといってどうでもいいというのが一視聴者たる筆者の結論なのだが。

 

それより驚いたのが、このドラマが次回で最終回らしいということ。本当に最近のドラマは長続きしない。そんなに予算が少ないのだろうか。エンディングロールのあと、まだ撮影が終わっていないなんていうことを深山役の松本潤氏も言っていたし。

 

おもしろいドラマが終わってしまうのは寂しいものがあるが、それでも次週まで楽しみにしておこう。