悪意ある善人による回顧録

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逆転裁判6 その2

***注意はじめ***

以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。

また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。

当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。

***注意おわり***

 

だいぶ間があいてしまったが、ようやく2章をプレイできたので記録に残したいと思う。

 

第2章「逆転マジックショー」は、二人目の主人公・王泥喜法介を視点とした日本での事件である。

 

時系列的には、第1章にて成歩堂がクライン王国でツアーガイドの少年・ボクトの無罪判決を勝ち取った直後の物語である。

 

成歩堂の養女である「みぬき」は、或真敷一座という奇術師集団の最後の後継者として活躍しているプロのマジシャンでもある。そんな彼女が一座の復活をかけて新たにショーを手がけることになったのだが、そこで事件が起きてしまう。

 

関係者だけを集めたプレ講演の場で、脱出マジックの最中に死体が出て来てしまったのである。みぬきはマジックを利用して被害者を殺害したと疑われ、そのまま逮捕されてしまう。

 

成歩堂不在の日本で起きた事件を前にして、王泥喜はどう立ち向かっていくのか。それが第2章の主な展開となった。

 

 

成歩堂みぬきと「或真敷一座」との関係については、「逆転裁判4」にて描かれている。みぬきが逆転裁判5にほとんど登場していなかったせいか忘れ気味だったが、彼女と王泥喜が実はとても複雑な関係にあることを思い出した。

 

みぬきの楽屋に、彼女の母親からの花束が届いていたのだが、みぬきも王泥喜もそれに気づかないままなのである。このくだりについて、本作で決着をみるのかは今後の楽しみに取っておきたいところである。

 

 

それにしても、登場人物に久々の双子設定が出てきて少しだけテンションがあがってしまった。(カルタグラをプレイして以来、物語に双子が登場するとどうしても興奮してしまうのである)

 

最近読んだマンガでも、双子による瞬間移動トリックというものが描かれていたせいか、「瞬間移動が得意なマジシャン」というのが出てきた瞬間に「あ、こいつ双子だわ」と予想してしまったのが何とも浅ましいが、当たっていたのでどうしようもない。いろいろなストーリーを見聞きすると、その先を無意識に予想しようとしてしまうのは悪い癖である。これでは純粋にストーリーを楽しめなくなってしまう。

 

 

今回の話は探偵パートと裁判パートを1回ずつやって終了した。日を跨がないで終わる第2章というのはもしかしたらはじめてかもしれない。

 

登場人物が少なかったため、最後の裁判が行われる前日にようやく犯人が出て来る流れかと思いきや、序盤に出てきたいかにも悪意たっぷりの人物がそのまま犯人だったのも珍しいと言えば珍しい。もっとも、その人物がいかにして犯人たりえたかを推理していく流れはかなりのどんでん返しがあったけれど。そこまでは予想できないよ、っていう。

 

 

また第2章では、今作のライバル検事であるナユタ検事が初登場する。探偵パートと裁判パートの間でアニメシーンが挿入され、まるで仏陀かなにかのように瞑想しているシーンが表示されたときには「こいつ本当に検事か?」と思ったが、歴代検事に肩を並べるにふさわしいライバル検事っぷりだった。口調は丁寧なのに、王泥喜に対して「ド腐れ弁護士」などといった暴言を適度に差し挟んでくるという陰険さと、王泥喜の弁護方針を先読みするかのような反論の手腕など、序盤では王泥喜がされるがままになっていたのも印象的である。

 

これだけでもキャラが立っているナユタ検事だが、裁判終了後にもうひとつビックリする要素をぶち込んできやがりました。なんと彼は、王泥喜と顔見知りだったようなのである。

 

逆転裁判4にて主人公デビューを飾った王泥喜だが、実のところ彼の過去の話しと言うのはこれまでほとんど語られていない。幼い頃から両親がいなかったり、師匠と仰いでいた弁護士に裏切られたり、かつての親友を某国のスパイに殺されてしまったりと壮絶な人生を送って来ているにもかかわらず、一貫して『過去』の経緯については謎が多いのである。

 

過去について多く語られていないのは成歩堂も同じと言えば同じだが、それは彼があまりにも平凡な家庭で暮らしてきたがゆえに語ることが多くないということなのだと勝手に推測している。それに対して王泥喜は出生からして特殊なため、語りだしたらゲーム1本分は費やしそうな物語になりそうなのに、ほとんどが秘匿されている。この点について本作はどう扱っていくのか、それも気になるところである。

 

 

ほかに登場人物について語ることがあるとすれば、王泥喜の後輩弁護士である希月心音と、ついに念願の科学捜査官へと転進を果たした宝月茜についてだろうか。

 

心音は逆転裁判5から登場した新人弁護士で、アメリカで心理学を学んできたと言う変り種である。逆転裁判5において彼女の特殊な経緯については殆ど語られているため、今作では追加エピソードはないものと思われる。

 

いまでは「成歩堂なんでも事務所」における最年少の弁護士として、熱血過ぎて空回りしがちな王泥喜をさらなるハイテンションで追い越していくという役回りになっている模様。もちろん、前作から初登場したココロスコープも健在である。(第二章では1回、証人の一人にココロスコープを試みる場面が存在する。そのときの裁判長と証人とのやり取りが絶妙に面白くてしばらく笑ってしまったのは内緒である)

 

一方、宝月茜は蘇る逆転から登場した人物である。初登場当時は16歳で真宵とほぼほぼ同じ歳だったのが、逆転裁判6の世界では25歳に成長している。ちなみに王泥喜とは逆転裁判4の頃から面識がある。それまでのシリーズで初動捜査を行っていた糸鋸刑事と入れ替わるかたちで刑事として活動していたのが、今作になってようやく念願の科学捜査官になったらしい。

 

偏執的な科学捜査マニアな点はさることながら、なんとも子どもっぽい大人といった茜。成歩堂や御剣たちが同じ年頃だったころの言動と比較すると、どうしても子どもっぽい印象を受ける自由さというか、奔放さがある。それが悪印象に繋がらないところが良いところなのだろうが、科学を信念とする茜が、クライン王国の僧侶でもあるナユタ検事とうまくやっていけるのかどうかが不安で仕方がない。それらも含めて苦笑しながら見守っていきたいと思う。

 

 

なお今作は成歩堂王泥喜の二人を交互に視点を入れ替えていく形式をとるようだから、これまで同様に4~5章で物語を終わらせることはできないと予想している。最低でも6章はないと、話のボリューム的にも不足が生じてきそうだと思う。

 

さて、次にまとまってプレイできる時間はいつ確保できるのやら。億万長者になってやりたいことのひとつが、誰とも関わらずに延々と映画やらゲームやらのストーリーを追い続けることなのだが、当分それが叶うことはないらしい。