悪意ある善人による回顧録

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逆転裁判 ~その「真実」、異議あり!~ 第20話

***注意はじめ***

以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。

また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。

当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。

***注意おわり***

 

第20話「逆転サーカス Last Trial」

 

魔術師マックスの裁判もいよいよ2日目となった。検察側は新たな証人として事件現場の目の前のビルに入居している曲芸士のアクロを呼び寄せる。しかし成歩堂は、これまでかき集めた情報をもとにとんでもない告発を行う。それは、アクロこそが真犯人であるというものだった。しかし、アクロはとある事故がきっかけで足が動かず、一人では外出することもできない状態である。そんな彼にどうして事件が起こせるのかという疑問に対して成歩堂は驚くべき立証を試みる……などの展開。

 

 

逆転裁判」の長い歴史の中でも一二を争うほど儚いエピソード、それがこの「逆転サーカス」であると個人的には思っている。

 

登場人物の誰一人として悪人などではなく、むしろみんな心優しい普通の人だった。しかし悲しいすれちがいによって、思わぬ悲劇を招いてしまった。それこそがこの事件の根本である。

 

よく、「悪気がないほど性質が悪いものはない」などということを耳にするけれど、そんな言葉を聞くとだいたいこのエピソードのことを思い出す。

 

猛獣使いのミリカは、団長にあまりにも大切に育てられすぎたせいで、現実感のない子に育ってしまった。彼女がもっと成熟した女性だったなら、彼女が自分が引き起こした悲劇の責任をしっかりと認識できていたなら、今回の事件は起こらなかったに違いない。

 

原作ゲームにおいて、図らずも自分の恩人を誤って殺害してしまったアクロが両目から滂沱の涙を流すシーンは涙なしに見ることはできなかった。アニメでもそのあたりが上手く表現されていたのはよかったし、泣ける仕上がりになっていたことには拍手を送りたい。

 

原作では裁判後にアクロとミリカが会話するシーンがなかったところ、アニメでそこを補完したこともファンタスティックである。ちょっと過剰な気がしないでもないが、個人的には上手い展開だったと思う。

 

まあ、事件当夜なにが起こったのかを再現するために裁判所内にセットを持ち込んだり、突然トミーたちが空中浮遊の手品を見せたときにはアニメ展開すぎて現実味がないとは思ったけれど、総括してよい話だった。

 

事件が終わった後、御剣が日本の空港に降り立ったシーンが挿入されて次回への幕引きとなる。

 

次回は「逆転裁判」シリーズの中でも特に異彩を放っているエピソードのため、これも中々見逃せない。

 

ただ、アニメ第1クールが13話だったのに対して、このペースでアニメ化が進むと第2クールが9~10話という中途半端な話数になってしまうのではないかという疑問はある。それもこれも「逆転裁判2」の第1章をアニメ化しなかったことが原因なのだが、もしや2~3話ほどアニメオリジナルの展開を挟んだあと、「逆転裁判3」の物語のアニメ化をするつもりなのだろうか。

 

気になって朝も起きれません。

(個人的にはNo.1な芸人、『サンドウィッチマン』のコントより引用)