***注意はじめ***
以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。
また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。
当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。
***注意おわり***
ジルと決別し、巨大潜水艇「アウローラ」からの脱出を図ったアンジュたちのもとへ、再びサリアたちが襲撃をしかけてくる。サリアたちの狙いが「アウローラ」だと知るや、アンジュたちはそれを阻止しようとする。しかし戦闘の最中、アンジュはサリアの奇襲によって意識を失ってしまう。アンジュが目を覚ますと、見慣れた光景が飛び込んでくる。そこは自分の生まれ故郷であるミスルギ皇国だった……などの展開。
サリア、エルシャ、クリスがいかにしてエンブリヲに篭絡されたのかが窺い知れた今回の話。
……なんというか、誰も彼もが単純すぎて言葉を失ってしまう。
サリアはジルに認められたいという承認欲求が満たされなかったことをつかれた。エンブリヲから愛されているなどという世迷言を口にしながら彼に付き従う犬に成り下がってしまった。
アルゼナルの子どもたちを守れなかったことを悔いていたエルシャは、エンブリヲが見せた奇跡の力にすがった。なんとエンブリヲは、アルゼナル襲撃の際に死んでしまった子どもたちを蘇らせたのだというのである。
クリスに至ってはもっとも救いがないというかどうでもいい。友達(恋人?)だと思っていたヒルダは自分が想っていたほど自分のことを想っていてくれなかったのだと思い込み、乱戦の中で自分を救ってくれたエンブリヲを新たな友としたらしい。
……もうね、なんというか、みんなエンブリヲの掌の上で踊らされすぎである。
望みが叶わなかったから、自分の望みを叶えてくれる別の誰かが現れたらすぐに尻尾を振るなんて、理性ある人間の態度ではない。そんなことをするのは飼い犬ぐらいなものである。
驚いたことに、「リベリタス」がどうのと未だに騒いでいるジル自身もかつてエンブリヲと関係を持っていた。彼女の原動力は、自分を見捨てた人間たちへの復讐心と、楽な世界へと逃げ出そうとした自分自身への嫌悪からだったのかもしれない。もしかしたらジル自身も、自分が立てたお題目のための反乱なのか、単なる復讐なのかわかっていないのかもしれない。ただどちらにせよ、そんな個人的な感情に巻き込まれて死んでいったノーマたちは不憫としか言いようがないが。
憎きエンブリヲはアンジュまで洗脳しようとするが、アンジュの強すぎる自我がエンブリヲの精神操作を跳ね返してしまった。まあ、これも主人公補正というところなのだろうけれど。
会話のなかで「1000年を生きた」だの「調律者」だのとますます人間離れした発言を繰り返すエンブリヲ。
「神」と呼ばれる彼にアンジュは抗う術を持つのか。