***注意はじめ***
以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。
また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。
当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。
***注意おわり***
・余談
時が経つのは早いもので、2月6日に発売されたPS4の某ゲームに時間を吸収されてしまい、記録を取ることをおろそかにしてしまいました。反省しなければ……
(原作同様にフルボイスのアドベンチャーパートに加え、SDキャラでしか動かなかった人気キャラクターたちを等身大で自由に操作できるということが思いのほか面白く、原作未プレイの人にもオススメできる出来に仕上がっていたのでつい……)
(しかし、だからと言って間違っても原作に手を出すことはオススメしませんよ。沼にはまれば抜けられなくなるほどのやりこみ性と中毒性があるので)
・雑感
玲人は警察からの要請で巷を騒がす猟奇殺人事件を捜査しつつ、妹の紫や謎多き少女・冬子の通う私立櫻羽女学院での潜入捜査を継続していた。
検視官・高城夏目の報告により、これまでの犠牲者たちは行方不明になっていた櫻羽女学院の生徒だったことが明らかになる。
彼女たちはなぜ犠牲者に選ばれたのか。遺体に残された「黒い卵」の意味とは。
犯人の手掛かりがつかめないまま捜査は難航してしまう。
そのころ、玲人は朽木冬子という少女の抱える影の一旦を垣間見ることになる。
「本当の自分」を探してほしい。そう告げた彼女の心には、「誰にも愛されていない」「ここは自分のいるべき場所ではない」という漠然とした、それでいて確信めいた実感があった。
6年前、とある連続殺人事件に巻き込まれ婚約者を奪われた玲人もまた、口には出せないほどの無念さと寂しさを感じていた。
歳も違う。立場も違う。なのにどこか通じ合う。「探偵」と「依頼人」という二人の間には、少しずつ特別な絆が生まれていった。
だが事件は玲人を待ってはくれない。とうとう次の犠牲者が現れてしまったのだ。
首を百八十度回転させられ、両目をえぐり取られた惨たらしい少女の遺体。その口の中には、これまでにはなかった一篇の詩がねじ込まれていた。
この言い回し、どこかで見覚えがある――父が遺した膨大な書庫と知識を有する玲人は、これこそが犯人の手掛かりであると考え、詩の出どころを懸命に思い出そうとする。
やがて彼は紫との会話の中で、その詩がダンテの「神曲」からの引用であると気が付いた。
「神曲」は詩人ダンテが生きたまま地獄を巡り歩き、やがて煉獄や天国へと至っていく物語である。被害者たちはいずれも、「神曲・地獄篇」の罪業に見立てて殺害されていたのだ。
しかし、「神曲」には被害者たちの身体に埋め込まれていた「黒い卵」の記述は存在しない。
単純な見立て殺人ではない。犯人の意図はほかにもにある。
玲人は学院への潜入捜査を続ける中で、妹の友人である四十宮綴子から有益な情報を得る。それは、被害者たちは全員、「黒い卵」をアクセサリーにして持ち歩いていたグループの一員だったというのである。
「黒い卵」で結びつく被害者たち。やがて玲人は、彼女たちを束ねていた元締めの存在を知る。
だが犯人の魔の手は、ついにその元締めにまで伸びてしまい――
「殻ノ少女」前編にあたる部分の事件解決直前までのあらすじはこんなところである。
あらすじの途中で出てきた「高城夏目」とは、カルタグラの主人公・高城秋五や高城七七の姉にあたる。
倫理観と貞操観念のぶっとんだド級の変態だが、検死の腕は超一流である夏目女史。
しかし彼女に手間のかかる依頼をしてしまうと、性欲発散と称してイロイロと搾り取られるため玲人も魚住も難儀する人物だった。
(そのうえ七七と同様に度し難いほどのブラコンで、秋五に対する愛情が振り切れていていろいろと問題もある。だが、恋人を亡くして苦しんでいる玲人を励ます程度にはまともな良心も持ち合わせていて、一筋縄ではいかない女性とも言えるが)
そのほかの登場人物に触れるとすれば、美術館に勤める学芸員マリス・ステラだろうか。
この時点では単なる(奇妙な)脇役としか見なせない外国人『風』の女性だが、実はこの物語において非常に重要な立ち位置にいる存在である。その点については後日記すとして……
玲人は女学院に臨時講師として勤める都合上、紫や冬子が所属する美術部の顧問を掛け持ちすることになる。
事件捜査が難航していたころ、彼は妹たちの頼みを聞いて部活動の一環として東京都立美術館へ見学をしに行くのだが、ステラはそこの学芸員として登場する。
金髪碧眼に白磁の肌、どこからどう見ても西洋人でしかなく、話し言葉もたどたどしくとぎれとぎれ。しかし、美術品の解説をするときだけはとても流暢に話しだし、驚くほどの知識量を披露する。
(これは物語後半で明らかになるのだが、彼女はとある日本人シスターとイタリア人宣教師との間にできたハーフであり、日本で生まれ育った。このこと自体は物語の本筋には全く関係がないのだが、彼女の身内にはこの時点では書き記せない驚くべき背景があるのである)
玲人たちは、ステラの解説のもと、間宮心象という有名な画家が描いた絵画の数々を眺めていく。
しかしその絵画の中に、ひときわ異彩を放つものがあった。
両腕のない女性が、割れた黒い卵から裸の上半身をさらけ出すという奇怪な絵。
「殻ノ少女」と題されたその作品は、間宮心象往年の最高傑作と評されているとのこと。
だが、その殻の中に収められている女性の顔は、どう見ても冬子そのものなのである。
絵が描かれた時代を考えれば、冬子は生まれているかすら怪しい。だがしかし、どうしてこんなに似ているのか。
この絵を見た直後から、冬子は一層の虚弱に陥ることになるのだが……
巷を騒がす事件に黒い卵、そして「殻ノ少女」。
そのすべてがどのように絡まりあっているのか。
物語を追えば追うほどに深まっていく人間模様が本作の魅力とも言えるのだが、物語の結末に至るまでにはまだ当面時間がかかりそうである。
今後も引き続き記録を取っていくが、もうちょっと頻繁に更新できるよう頑張らなければ……