記事の練習のため、昔の読書録(2009年)からひとつを丸写しさせていただきます。
***注意はじめ***
以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。
また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。
当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。
***注意おわり***
ブロンテ家3姉妹の長女による、言わずと知れた世界的名著である。
主人公は表題にもある、ジェーン・エアという少女。この物語は彼女が両親を失い、意地汚い叔母に引き取られたあと、幸福を掴み取るまでの一生を綴った長編大作である。
ジェーンは叔母の子どもたちからイジメられ、家を追い出されたるようにして女学校に押し込まれる。しかしその女学校は悪辣極まりない環境であり、彼女はそこで唯一の親友を病で失ってしまう。
やがてジェーンは成長し、女教師となる道を選ぶ。ジェーンは女学校から一人立ちするために、新聞へ家庭教師の広告を掲載する。その広告を見てジェーンを雇ったのが、彼女の一生を変えることになるひねくれ者の紳士エドワード・ロチェスターだった……という筋。
物語は終始、ジェーンの一人称の形式をとっている。物語ののちにロチェスターと結婚した彼女が昔を振り返るといった体裁で話は進んでいく。
なにやら「小公女セーラ」や「シンデレラ」を彷彿とさせる物語のため、途中の展開は甚だ腹立たしい。苦境に追いやられた際のジェーンの思考がもっと自分本位のものだったなら、彼女はここまで不幸にならなかったのではないかと思えてならない。
物語の終盤でロチェスターは悶着に巻き込まれ、身体に障害を負ってしまうのだが、ある意味これもジェーンの謙虚さが引き寄せた悲劇だと言える。
ジェーンが莫大な遺産を手にするオチは若干伏線不足の感も否めないが、彼女が強いられてきた苦労を思うと、それくらいの見返りがあってもいいかもしれない。
何だかんだでジェーンはハッピーエンドを迎えるので、「イイハナシダー」という読後感が味わえる。だがしかし、人によってはロチェスターが気の毒に思えてしまうかも。