悪意ある善人による回顧録

レビューサイトの皮を被り損ねた雑記ブログ

カルタグラ ~ツキ狂イノ病~ (その10)

終幕およびストーリー全体についての感想などを記録いたします。

 

***注意はじめ***

以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。

また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。

当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。

***注意おわり***

 

 

 

 終幕は昭和26年3月10日の話。

2月22日の千里教本部での大立ち回りのあと、秋五と冬史は治療を受けたり、警察の取調べを受けたりして1週間を過ごしていた。

さらに1週間後、秋五は逗子の上月家で療養している和菜を見舞いに行き、3月10日に至るまで看病を続けた。

 

千里教の防空壕から発見された和菜は目から血を流して倒れていた。医者によると目の傷は既に治っているが、精神的な理由で目を開くことができないのだろうとのこと。

 

事件の慌しさから離れ、和菜の側で穏やかに過ごしていた秋五。そんな彼のもとに七七が現れて、事件の真相を語りだす――という筋。

 

 

 

終幕の話題に移る前に、4幕において有島刑事が口走っていた内容を整理したい。それにあわせて、由良にまつわる事件を時系列に整理したいと思う。

 

 

まず、由良が父親の手により「ナラサキカズマ」(=有島刑事の旧名)へ売り渡されたのが10年前。(昭和16年?)

 

由良はその後、奈良崎機関なる軍直轄の研究所にて怪しげな人体実験を受けることになる。この実験は、秋五が逗子に肺病の治療に行っていた7年前(昭和19年)の初頭ごろまで続けられる。

(ファンディスク『和み匣』のイノグレ公式通販特典CD『コイノニア』によれば、由良は秋五と会うために何度も機関を抜け出してきている模様。機関は逗子にあり、病院に偽装されていたということなのか。そうでなければ、人体実験の最中である由良が秋五と顔を合わせることなどできなそうだが……)

 

(ちなみにハーヴェストノヴェルズで刊行された「カルタグラ 下巻」にはいくつかの短編が収録されており、そこに由良視点の物語がある。それによると由良が実験を受けていたのは半年間であり、秋五と出会う直前の半年間は術後のショックで正気を失っていたという趣旨の記述がある。これは『コイノニア』の描写と明確に食い違う部分のため、どれを正史ととればいいのだろうか。ただしそれを言うなら、PC版とPS2版での描写の差もどちらが正史なのか判別できないことにもなるのだが)

 

 

秋五が出征してから終戦の間に機関は解体され、由良は心身ともにズタボロになって上月家に送り返される。由良と和菜の父の話によれば、由良はそれから半年近くも泣き叫んだり、喚き散らしたりと、気が触れていたらしい。(昭和19年春~秋?)

 

あまりに手におえないため、由良は上月家の奥まった部屋に幽閉される。『コイノニア』によると、その期間は2年半だったという。(昭和19年秋?~昭和21年末?)

 

幽閉されている間に正気を取り戻した由良は、上月家の女中たちが自分を亡き者にしようと密談しているのを聞いてしまい、上月家を脱走する。それが、由良が失踪した5年前の出来事にあたる。(昭和21年末?)

 

逃げるあてなどない由良は、かつて自分を実験台にした機関の責任者、有島刑事に助けを求める。

 

そのころの有島刑事は、不貞を働いた妻を殺害し、不倫相手だった千里教の教主をも始末しようとしていたと思われる。そこに由良がやって来たため、彼女を千里教の教主に据え置いて、教団を裏から操り私腹を肥やそうと考えた。これが上野連続バラバラ殺人が発生した2年前とのことだから、昭和24年初頭の話なのだろうか。

(秋五と対峙した有島刑事は、由良の世話をしたのは2年間だと発言している。しかしそうすると、由良が上月家を逃げ出したと思しき昭和21年ごろから2年近くの空白期間ができてしまうのだが、その間彼女はどこでどう生き延びたのか。それらの答えはどこにも記されていない)

(それとも、昭和21年ごろから昭和23年末ごろまで有島刑事が由良の世話をし、昭和24年初頭から昭和26年初頭までが由良が千里教の教祖をしていた、ということなのだろうか。このように考えれば空白期間はないが……)

 

由良が千里教の教主の座についたあと、奈良崎機関の一員だった赤尾生馬が千里教の幹部として入り込む。

 

それから2年が経過して、ようやくカルタグラ本編の時間軸である昭和26年となる。

 

 

 

由良(と和菜)に良く似た女、雹についてもここで少しだけ触れてみる。

 

秋五は2月8日に冬史と会い、そこで「死の腕」の幹部の情婦である雹という女の存在を知る。

冬史によると、雹が姿を消したのは2週間前(1月25日ごろ?)。

 

同じ時期に、上野葵町にて巫女装束姿の「和菜に似た女性」が目撃されている。冬史をはじめとする「死の腕」の人間はこの女性こそが雹であると考えていたらしい。

 

しかし、プレイヤーはゲーム開始時に巫女装束姿の女が別の女を殺害して地中に埋めているシーンを目撃している。

 

 

さて、これはどういうことなのだろうか???(わざともったいぶる)

続きはまた明日。