悪意ある善人による回顧録

レビューサイトの皮を被り損ねた雑記ブログ

スペシャリスト 第1話

ものの試しに、連続ドラマの感想などをしたためたいと思います。

プライベートの都合により、録画してから見ることも考えられるため、こちらも不定期連載の形をとらせていただきます。

 

***注意はじめ***

以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。

また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。

当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。

***注意おわり***

 

 

●本作の概要

 冤罪(殺人未遂罪)で10年間服役した経歴を持つ異色の刑事・宅間善人(草彅剛)。長い服役期間に犯罪者・受刑者のデータ、犯罪手口などをすべて記憶するという、いわば“犯罪心理のスペシャリスト”となった宅間は京都府警に設けられた『特別捜査係』に配属され、姉小路千波(南果歩)、松原唯子(芦名星)、堀川耕平(平岡祐太)という個性豊かな仲間とともに数々の難事件を解決してきた!
 いまや京都では知らない人はいないほど有名になった宅間だが、2015年12月12日(土)放送の『スペシャリスト4』で高倉紀一郎京都府警本部長の死に直面。そのことをきっかけに彼は京都を離れ、東京にやってくることになる。
 自身の冤罪事件の真相も含め、自分を取り巻く大きな陰謀を暴くには“本丸”である警視庁に乗り込むしかない――そう考えた宅間は、警察庁幹部・滝道博喜(吹越満)に導かれ、警視庁に新設されたある部署に配属される。
 そこで出会った女刑事・我妻真里亜(夏菜)や捜査一課刑事・野方希望(和田正人)とともに、またもや事件に立ち向かっていくことに…! 

 

 

●感想

 

2013年より年1回ペースで放送されていた2時間もののドラマスペシャルが、ついに連続ドラマ化した作品。主演は解散騒動で慌しそうなSMAPの草彅剛氏。

 

草彅剛氏の扮する宅間善人は、冤罪によって10年ものあいだ服役していた過去を持つ。服役中にさまざまな犯罪者を観察し、その手口や心理を吸収していった。そして彼は犯罪心理学やプロファイリングなどの座学ではなく、実体験に基づく犯罪分析のスペシャリストとなった。

 

これまでは京都府警の管轄での物語だったが、2015年12月に放送された第4弾のドラマスペシャルでの事件をきっかけとして、舞台は東京へと移る。

 

 

 

第一話は超高層ビルに住まう小説家の自殺にまつわる謎を追うというものだった。密室内で首を吊り、背中にはナイフが刺さっていた。果たして真相はいかに。

 

最初は、被害者は自殺であり、ナイフの刺し傷は他殺に見せかけるために死後偽装されたものだと推理した宅間。しかし事件関係者の自殺により、彼は別の推理を展開する。

 

小説家は殺されたのであり、密室は第一発見者の狂言だった。これが真相である。殺人の実行犯は、第一発見者の娘の命を盾に脅迫したのだ。

 

だが、事件は急展開を迎える。殺人犯と思しき人物を捕らえに事件現場に向かった宅間は、何者かに襲われて昏倒する。目が覚めると手には拳銃を握られ、すぐそばには容疑者の死体があった。宅間は覚醒と同時にやってきた警察に捕らえられ、再び裁判で有罪判決を受けてしまう。そして収監されてから10ヶ月が経過し――という筋。

 

 

 

よくも懲りずに冤罪で逮捕される人物である。

過去のドラマスペシャルにおいて、刑務所内の人物と会話するために一時的に囚人のフリをすることはあったが、今回は本気で捕らえられていた。それも、見ず知らずの他人の移植手術が終わるのを待つために、あえて10ヶ月間も耐えていたのである。10年の刑務所暮らしに比べれば安いものとでも言うのか。まったく浮世離れした感性である。

 

過去に冤罪で捕まった人間が再び冤罪で捕まるなんて笑い話にもならないが、これによって警察の威信は丸つぶれになるのではないか。そんなどうでもいい心配をしてしまった。

 

それにしても、自らの手は汚さずに他人を煽動して罪を犯させるなどというと、『探偵学園Q』の「冥王星」を思い出してしまうような手口だった。『古畑任三郎』においては藤原竜也氏、石坂浩二氏らがゲスト出演した「今、蘇る死」という話もこの種の事件である。実際、このタイプの犯罪者がもっとも手ごわい。自分はけっして手を下さないから、滅多なことでは証拠を残さないのだ。罪に問えてもせいぜいが教唆犯、犠牲者の立場からするとやるせない気分になることだろう。

 

 

スペシャルドラマ版では、近年のインターネットにまつわる最新事情を取り入れた犯罪を多く扱っていたが、連続ドラマ版ではオーソドックスなミステリーといった趣で発進した本作。

 

「ワレワレの存在に気をつけろ」という言葉を残して亡くなった元上司。果たしてその真意は。宅間たちを待ち受ける新たな犯罪者とは。

 

今後の展開に期待である。