悪意ある善人による回顧録

レビューサイトの皮を被り損ねた雑記ブログ

臨床犯罪学者 火村英生の推理 第8話

今回もまた7・8話を立て続けに鑑賞いたしましたので、記録を残したいと思います。

 

***注意はじめ***

以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。

また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。

当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。

***注意おわり***

 

 

第8話は、東京で発生した過激派組織・シャングリラ十字軍の構成員の殺人事件に関与しているとされる学生が、京都に出没したという噂が広まった。一方その頃、一晩にして同じ高校に通っていた男女二人が別々の場所で殺害されるという事件が起こり……などの展開だった。

 

ネットは怖い。ネットは人類に便利さと速度をもたらしたが、その何億倍もの悪意と脅威をも生み出したと思う。十数年前には存在しなかった「学校裏サイト」なるものが当り前のように存在し、ネットの匿名性などというありもしない神話に魅せられたゴミクズがこぞって罵詈雑言を書き散らす。LINEやらtwitterなどのSNSにはまりすぎて、その輪に入らない人間を除け者にしたり、仲間内でも陰口の叩きあいをしたり、果てには凶悪犯罪に悪用されることすらある。


今回の話においても、殺人事件の犯人であると嘯く少年に関する情報がネットの世界で実しやかに広まっており、中には写真までアップする者までいた。一度ネットの世界に拡散された情報は二度と回収不可能だということをわかってやっているのか、甚だ疑問ではある。


ただし一方で、今回の事件は興味深い議題も提示してくれた。


それは、未成年犯罪者の匿名報道に関する反論についてである。


日本は被害者に冷酷で、加害者に厚遇するとよく言われている。その際に真っ先に槍玉にあがるのが、未成年者の匿名報道である。


近年では、1997年に神戸で発生した通称「酒鬼薔薇事件」の犯人が出所後に記した著作「絶花」をきっかけとして、週刊文春が犯行当時14歳だった犯人の実名が「東慎一郎」であるなどと報じたことに賛否が寄せられたことが記憶に新しい。

(もっとも、犯人はその後「西岡真」という名に改名したという情報も流れているが、どこまでが真実かはわかっていない。ちなみに当サイトの筆者は限りなく悪意的な人間であると自負しており、もちろんわかっていてわざと掲載した。さーせんさーせん)

 

 

今回の事件のオチは、東京で連続殺人を犯した少年による犯行ではなく、死んだ高校生のうちの一人が片方を殺し、もう片方が自殺したというものだった。

しかし、日本の匿名報道の原則に従うならば、殺人を犯した高校生は決して名前が世に出ることはない。人一人の命を理不尽に奪っておきながら、しかも死に逃げして更生の余地すら残っていないにもかかわらず、名前を報じないという理不尽さである。

 

もしこの事件の犯人が成人していたら、犯人の更生云々など考えずにゴミであるマスゴミは嬉々として犯人の個人情報を無責任に垂れ流すことだろう。それが仮に冤罪であったとしても、間違った情報を発信したことに一切責任を取らずにしれっとしているのだろう。それにもかかわらず、犯人が未成年だからという理由だけで実名報道をしないというのは、あまりに公正さを欠く報道姿勢だと思われる。

 

もしも未成年者の更生が第一だと考えるのならば、次の論点に対して明確なる反論がなければならないだろう。

 

(1)「未成年者の更生 > 成年の更生」とする価値基準の根拠はどこにあるのか。年齢の違いだけで更生したあとの人生の価値に差があるとするなら、それはなぜか。

 

(2)未成年犯人の実名報道をしないことの根拠が「犯人の更生を妨げる」ことだとしたら、なぜ成年の犯人は実名報道するのか。それは「犯人の更生を妨げる」ことになっているのではないか。

 

(3)匿名報道の根拠が加害者家族やその周辺人物への影響を配慮してのことだとしたら、なぜ成年の犯人は実名報道するのか。それは成年犯人の家族や周辺人物へ確実に悪影響をもたらしているとはいえないか。

 

これらの論点に反論できないというのであれば、もしくは感情論だけの反論になるのだとすれば、未成年者の匿名報道する理由は皆無だ。

 

個人的な価値観で物申させてもらうとすれば、そもそも未成年のうちから悪意を持って加害行為に走るような人間が、そう簡単に更生などするはずがない。というか、1万人の非行少年のうちの1人が更生するかしないかくらいのわずかな割合なのではないか。

 

つまりはほとんどの加害者が何の反省もせず、たかだか数年の監視生活をすごしたあとは、それまでの罪がキレイさっぱり消えてなくなったかのように生きていくのである。かの悪名高い「名古屋アベック殺人事件」の犯人たちは、出所後に結婚して子どもを設け、追跡取材をした報道員に対して恫喝するような調子でこう言ったのだという。

 

「自分の子供が同じ目に合わされたら許さない」

 

もうね、どの口が言うんだこの犯罪者が死に腐れって話ですよ。

 

結局のところ、人のことを踏みにじっても平気でいられるような人間というものは、自分以外のことが見えていないのである。そんな人間に必要以上に配慮してやる必要などない。

 

成年と同じ処遇で構わないのだ。未成年だからー、加害者にも未来があるからーとか、人権派や良識派を気取った利権漁りのゴミクズ連中の意見など知ったことじゃない。

 

日本が法治国家を名乗るのであれば、罪には罰を持って処するべき。

 

ネットの世界が恐ろしいと冒頭に書いたが、なぜネットの世界がこれほどまでに悪意をもったのか、その原点は、この国が因果応報を行わない国だからなのだと思えてならない。

 

ネットの世界は怖い。自分も極力かかわりたくはない。しかし、自分や自分の周辺で理不尽に被害をこうむったときには、自分も積極的に犯人を暴露すると思うし、それを止めることは偽善だとも思う。

 

権力者が口走る耳障りのいい建前論なんてうんざりである。

 

 

はてさて、久しぶりに悪意満点の愚痴が炸裂してしまってお恥ずかしいばかりである。

 

ドラマの終盤で、ネット上で「切り裂き王子」「アポロン」などとあだ名されていた少年が逮捕された。

一方で、警察の護送から逃げ出したシャングリラ十字軍の指導者・諸星は、火村をおびき出すための餌として有栖川を狙っている模様。

 

いよいよ火村と諸星の直接対決が見られるのだろうか。

 

今後の展開に期待である。