悪意ある善人による回顧録

レビューサイトの皮を被り損ねた雑記ブログ

逆転裁判 ~その「真実」、異議あり!~ 第4話

 

***注意はじめ***

以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。

また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。

当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。

***注意おわり***

 

第4話「逆転姉妹 Last Trial」

 

千尋殺害の犯人を突き止めた成歩堂だったが、犯人の策略によって逆に自らが千尋殺害の真犯人に仕立て上げられてしまった。成歩堂の弁護を引き受けてくれる者がいないなか、彼は自らの無罪を立証することになるのだが……などの展開。

 

原作「1」の第二章にあたる「逆転姉妹」のエピソードが、アニメにすると3話に纏められているというのはオドロキだった。

とはいえ、2012年公開の実写映画でも20~30分ほどで片がついた話だったから、テキストを読ませる形式ではなく動画形式にするとそれほど短く纏められる話だったということになる。(ゲームをプレイしたときは3~4時間くらいかかった気がするが)

 

今回のエピソードは、成歩堂が単独主人公を飾っていた原作ゲーム「1」「2」「3」における特徴のひとつである「霊媒」の要素が初登場する話である。

 

逆転裁判は推理アドベンチャーゲームとしては始めて裁判所を舞台にしたことで有名になったが、この「霊媒」の要素も逆転裁判を語るうえでは外せない。

 

上質なサスペンスでありながら、要所にファンタジー要素を混ぜてくる。かといって、実際の事件では論理的・物理的に説明がつく犯行しかなされていない。ミステリーとファンタジーが見事に両立しているところに、逆転裁判の凄さのひとつがあると言える。

 

同様の趣向を巡らせた物語群として、三津田信三氏の著作「刀城言耶シリーズ」がある。こちらもミステリーとオカルトがキレイに融合された素晴らしい作品群のため、長文読解が苦でない方々には絶賛おススメできるタイトルである。(第一作が少々読みにくいことを除けば、近年の作品になるごとに文体が見違えるほど読みやすくなっていることも特徴のひとつである)

 

今回の話の感想に戻りたい。

 

事件の黒幕は調査会社の社長・小中大(コナカマサル)だったわけだが、彼は意外にもあっさりと自らの犯行を自供してしまった。

 

それもこれも彼がいままでしでかした悪行を公表すると真宵(に乗り移った千尋)が脅しをかけたからなのだが、本当にそれでよかったのかは疑問である。

 

検察局長官やら法務大臣の弱みまで握っているような財界のフィキサーだったはずなのに、「誰それの弱みを握っていました」というリストを公開されると知るとすぐに自供をはじめてしまった。それは、人一人を殺したことを認めたほうが安全なほど恐ろしい情報だったのだろうか。そんな物騒なものをたった一人で管理できたほど有能な男だったなんて信じがたいのだが。

 

ひとまず、成歩堂と真宵に降りかかった殺人容疑は見事晴らすことに成功した。

 

この話を機に、成歩堂は千尋の事務所を引き継ぎ、真宵は成歩堂の助手として事務所に出入りするようになる。作中で真宵は高校生であることが明かされているが、実際に学校に通っている描写がなかったのがずっと気になっていた。アニメ版においてはそのあたりをどう扱うのか、密かに期待しているのだが。

 

さて、次回は原作「1」の第三章にあたるエピソードのアニメ化である。乞うご期待!