悪意ある善人による回顧録

レビューサイトの皮を被り損ねた雑記ブログ

クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 第15話

***注意はじめ***

以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。

また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。

当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。

***注意おわり***

 

謎の世界へと転移してしまったアンジュたちの前に、ドラゴンに乗った女たちが現れる。女たちに連行された先で、アンジュはいつかの戦闘で対峙した戦闘機乗り・サラマンディーネと再び合間見える。サラマンディーネの提案によって辛くも客人扱いとなったアンジュたちは、彼女の口から驚くべき事実を聞くことになる。それは、いまアンジュたちがいる世界が、彼女たちがいたのとは別にもうひとつ存在する地球なのだという話だった……などの展開。

 

前回イイ感じだったアンジュとタスクだが、横槍が入ったことで醒めたのか、アンジュの態度があまりにも辛辣で見ていてつらかった。うむ、やはり世間一般に言われているとおり女の方が切り替えが早い。いわゆる「女心と秋の空」といったところか。(別にタスクがソレに執着していたわけではないと思うのだけれど、なんであそこまで言われなきゃならんのだろうか……)

 

それはいいとして、今回ようやく先日の戦闘で合間見えた謎の女の名前が明らかになった。

 

『神祖アウラの末裔にしてフレイヤの末裔が姫、近衛中将サラマンディーネ』。

それが彼女の正体だった。巫女風と感じたのは、どっかしらの王族の一人からだった模様。

そして何より彼女がドラゴンを率いるトップというわけではなく、その上に評議会的な女たちと、それらを束ねる大巫女なる存在が控えているらしい。(いずれもミスの裏に隠れていて姿は見えなかったが、全員女ということだけは確かである)

 

サラマンディーネから語られたのは、大きく分けて2つの事実だった。

 

ひとつは、アンジュの世界とサラマンディーネの世界は、平行宇宙に存在する別の地球だということ。つまり、別の次元に地球が2つ存在していたということ。

 

かつて人類は戦争によって疲弊した世界を捨てて、平行世界にあるもうひとつの地球、つまりアンジュが生きてきた地球に逃げ出した。新たな地球に移り住んだのは、エンブリヲが「造った」人類であって、マナの力が使える新人類というべきものである。

 

一方、もとの地球にとり残された一握りの生き残りたちは、汚染された地球で生き抜くことを余儀なくされる。そのままだと環境の変化に耐えられずに死んでしまうことから、残留組の人間たちはあるひとつの決断を下す。それが、自分の遺伝子を改造して環境に適応すること、平たく言うと、人間の身体をドラゴンにしてしまうことだった。

 

だから、背中に翼の生えているサラマンディーネはドラゴンという種族というわけではなく、選択によって生き残った人間たちの子孫ということになる。

 

そしてサラマンディーネが語ったもうひとつの真実は、恐るべき内容だった。

 

地球に残留した人間たちはドラゴンに姿を変えることで生き延びられたのだが、それを最初に行った人間がいた。それこそが、神祖アウラという龍なのだという。

 

残留組の人間たちはアウラの指揮によって調和を取れていたのだが、そのアウラをアンジュたちがいるもうひとつの地球へと連れ去った存在がいるのだという。

 

それこそが、アンジュたちが争う元凶となったあのエンブリヲなのである。

 

エンブリヲアウラをもうひとつの地球へと幽閉し、「マナが満ちた世界」を稼動させるためのエネルギー源として活用した。

しかし、アウラが生物である以上、そのエネルギーは無限に生成できるはずがない。補給しなければいつかは底をついてしまう。

 

アンジュたちノーマがやらされていたドラゴン討伐は、もうひとつの地球からアウラを取り戻しに攻めてきたドラゴンを撃退するだけではなく、そのドラゴンの体内に蓄積された『ドラゴノイド』なるエネルギー源を取り出してアウラに補給するためだったのだという。

 

つまりアンジュたちは、「マナが満ちた世界」を通常運転させたいというエンブリヲの思惑によって死地に向かわされていたわけである。

 

もう、なんかこう、何もかもが嫌になってくるような話である。

エンブリヲという男の底が知れない。何もかもが彼の手の平の上で操られている。

 

もうひとつの地球に来てしまったアンジュたちは、なんとかして元の世界に戻ろうとしていたのに、こんな話を聞かされたのではその決意が鈍ってしまう。

 

結局戻ったところで、エンブリヲの思惑通りに働くか、ノーマと狂った人間たちとの争いに巻き込まれるかしかないのだから。

 

果たして、彼女はどのように決断するのか。見ものではある。