***注意はじめ***
以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。
また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。
当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。
***注意おわり***
第9話は、あるレストランチェーンの社長夫人が事業独立と離婚を頼みに神宮寺法律事務所を訪ねてきた。しかし事務所はレストランの社長と顧問契約を結んでいるため、利益相反となりうる夫人の悩みには力を貸せないという。そんなとき、他の弁護士事務所からヘッドハンティングの誘いを受けていた夏目は神宮寺法律事務所を辞め、社長夫人に協力したいと言い出し……などの展開。
まさかの9話にて完結してしまった本作。最近のドラマはなぜか10話以上放送することが少なくなってきており、非常に寂しい思いをしている今日この頃。
本作もまだまだ伸び代を残しておきながらあっけないほどにあっさりと終わってしまい、なんともいえないやるせなさがある。
まあ、それはさておいて本編の感想である。
首都圏を中心にいくつものレストランを経営し、業績右肩上がりのいわゆる「勝ち組」な夫に対して不満を抱いていた妻が一人。今回の騒動を持ち込んできた人物である。
彼女は趣味の延長線上でレストランに活ける花を用意していたのだが、結婚前から独立開業することが夢だったこともあり、フラワーアレンジメントの仕事を夫が経営するレストラン以外でもやりたいと言い出した。
しかし夫は妻の提案に反発。事業を本格化させずとも、レストラン内だけで留めておけばいいという考えだったらしい。
この一件がもとで夫婦仲は一気に冷え込み、妻は離婚を考えたのだという。
……まー、当方1本50円の缶コーヒーでも買うのを躊躇うほどの貧民ゆえ、成功者と呼ばれる金持ちがどのような悩みを抱いていようが毛先ほども興味がないのだが、今回の話を視聴して感じていたことを『少しだけ』書き留めたいと思う。
件の夫婦には子どもはいなかった。作る気がなかったのか恵まれなかったのかはしらないが、「子どもがいない」という点は重要だろう。子どもがいる夫婦といない夫婦では前提条件が違うからである。
これはあくまで個人的な見解なのだが、この妻がいったい何を不満に感じていたのかがまったく共感できなかった。
彼女は「自分は夫の所有物ではない」「経済的に自立したい」と発言していた。言いたいことは理解できるのだが、それなら、とも言いたい。
それならアンタ、なんで結婚なんかしたん???
結婚するということは、夫婦で家計を切り盛りするということである。片方が外で働いて片方が家事を取り仕切るもよし、共働きで稼ぐのもよし。それは夫婦の方針によって異なるのだろう。
ただそれはあくまで「生活を支えるための智恵」であって、メインは「生活」である。決して「労働」だとか「経済的なんちゃら」が主なのではない。
そもそも、結婚したあとも「仕事」をメインに考えて生きて生きたいならば、男だろうと女だろうと結婚なんてするべきではない。
結婚すれば家庭ができる。しかし、仕事を中心に生きていく人間は家庭を顧みる時間的余裕も精神的余裕も欠如する。どんなスーパーマンだろうとアマゾネスだろうと、人間が生物であるかぎり体力には限界がある。
結婚したにもかかわらず、夫婦の共同生活は二の次でいいと考えているなら、その人たちは最初から結婚なんてするべきではなかったと言わざるを得ない。どちらか片方でもそんなことを考えていたなら、確実に共同生活は破綻する。片方が我慢の限界に達するからである。
今回の話は、妻が自分の仕事の手を広げたいばかりに、うさんくさい詐欺師に引っかかって夫婦仲を悪化させたというのがオチだったわけだが、この奥さんには致命的なスキがあった。咲坂たちはこの夫婦はやり直せると思ったようだが、筆者的には不同意である。遅かれ早かれ、どうせ似たような問題を起こして喧嘩別れするに決まっている。人の価値観なんてそう簡単には変わらないのだから。
それにしても、咲坂と夏目は驚くほどあっさりと復縁したものである。別れてたった1年で元鞘とは、エリート弁護士様の考えることは貧乏人には到底理解できそうにない。ドラマの尺が取れなかったのか、そこらへんのやり取りがささっと取り上げて話を終わらせてしまったのは少し残念だった。
ドラマ全体を通してコメディタッチで描かれており、個人的には楽しめたほうである。ただ、ドラマ後半から主人公であるはずの咲坂が活躍する場面がカットされてきたのが顕著で、それも残念ではあった。