***注意はじめ***
以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。
また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。
当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。
***注意おわり**~
・発売日決定の祝い
イノセントグレイのデビュー作にしてミステリーADVの金字塔「カルタグラ」が、
まさかのニンテンドースイッチ移植版の発売が発表されてから早半年が経ちました。
あまりに続報がなく、年内発売と言っていたのに予定が延期になったのかとあきらめかけていましたが、ついについに、発売日が発表されました。
2025年12月25日(木)、Nintendo Switch版「カルタグラ」発売決定!!!
『カルタグラ』Switch版が12月25日に発売決定。Innocent Grey初期代表作リメイクの移植版https://t.co/pMbBiv8upF
— ファミ通.com (@famitsu) 2025年9月22日
戦後の東京を舞台に奇妙な連続殺人事件の謎に挑む和風サイコミステリーアドベンチャー。パッケージ初回限定版には「書き下ろしアフターストーリー」やアクリルパネルなどが付属。 pic.twitter.com/jl6MWVCGTQ
いやはや、めでたい! 実にめでたい!!
原作の「カルタグラ ~ツキ狂イノ病」がPC向け18禁アドベンチャーゲームとして発売されたのが2005年4月28日、
内容の一部を差し替えた全年齢PS2版「カルタグラ~魂ノ苦悩」が発売されたのは2005年12月15日、
そして18禁版カルタグラのシナリオ増強およびFHDリメイク版が発売されたのが2023年4月28日のことでした。
およそ20年という長き時を超えて、
「カルタグラ」は再び全年齢版へと様相を変え、皆々様の元へとお目見えいたします!!
これが喜ばずにいられますか!
まだイノセントグレイの公式発表も、移植先企業であるプロトタイプ社の公式ホームページにもほとんど情報が掲載されていませんが、
twitter(現X)および各社ゲーム情報誌からの発表ですので、確定情報といってよいでしょう。
※2025/9/24更新
朝8時ごろにプロトタイプ社の公式ホームページが更新されました。
amazonで商品を予約すると、パッケージイラストのクリアファイルが店舗購入特典が付くようですね。
イノセントグレイは長らく店舗購入特典を導入せず、公式通販で一定金額以上の買い物をしたときのみ時期ごとの特典品をつける試みをしていましたが、
記憶が正しければおそらくイノグレ関連作品としては「和み匣」以来の店舗購入特典ではないでしょうか。
・現在発表されているNintendo Switch版の新要素
しかもですよ?
web版ファミ通の記事には見逃せない文言がいくつも報道されています。
Switch版では、原画を手がける杉菜水姫氏により新たに描き下ろされたイベントCGの追加やフルHDの対応が行われているほか、初回限定版では後日談『サクラメント』の更に先の物語が楽しめる“書き下ろしアフターストーリー”が同梱となる。
パッケージ通常版 希望小売価格 7,920円(税込)、
パッケージ初回限定版 希望小売価格 13,200円(税込)、
ダウンロード版 販売価格 6,800円(税込)
「パッケージ初回限定版」につきまして
通常版ゲームパッケージと共に、以下のスペシャルアイテムを収めた特装ボックス仕様です。
- A5アクリルパネル
- クリアカード(100×148mm)8枚セット
- 書き下ろしアフターストーリー&アートブック(B5サイズ)
「A5アクリルパネル」は、Nintendo Switch版用に新たに描き下ろされたメインビジュアルを使用。
「書き下ろしアフターストーリー」は、後日談「サクラメント」の更に先の物語が綴られます。※初回限定版は無くなり次第、販売終了となります。
なんとなんと、ゲーム本編のアフターストーリーが描かれた短編小説が付いてきてしまうのです!!
なんと素晴らしいことでしょうか!
・過去作で描かれた内容との比較
イノセントグレイはこの数年かけて、「カルタグラ」と同じ世界線である昭和中期の日本を描いた18禁アドベンチャーゲームをリメイク作を含めていくつも発表してきました。
・殻ノ少女《 FULL VOICE HD SIZE EDITION 》2019年12月20日発売
・虚ノ少女 《 NEW CAST REMASTER EDITION 》 2020年8月28日発売
・天ノ少女《PREMIUM EDITION》 2020年12月25日発売
・カルタグラ~ツキ狂イノ病~《REBIRTH FHD SIZE EDITION》2023年4月28日発売
※物語上の時系列でいうと以下の通り。
カルタグラ=1951年(昭和26年) ……主人公:高城秋五
⇒殻ノ少女=1956年(昭和31年) ……主人公:時坂玲人
⇒虚ノ少女=1957年(昭和32年) ……主人公:時坂玲人&真崎智之
⇒天ノ少女=1958年(昭和33年)~1964年(昭和39年) ……主人公:時坂玲人
これらの作品は、いずれもパッケージに短編小説数十ページ分が付録としてついており、どれも本編で描かれなかった幕間の物語を補完する必見の内容になっていました。
しかし、カルタグラFHDリメイク版で付属していた小説はカルタグラの舞台よりもさらに数年前である1946年(昭和21年)を描いた内容となっており、
カルタグラのあとから殻ノ少女の物語に続くまでの間に、全く描かれていない空白の数年間が存在するのです。
原作カルタグラが発売してから数年後、ファンディスク「和み匣」というオムニバス形式のアドベンチャーゲームが発売されましたが、
そこに収録された「サクラメント」というやや短めな物語がカルタグラの続編および完結編として描かれていました。
2023年発売のカルタグラFHDリメイク版は、原作の「カルタグラ」に「サクラメント」の内容を付け足した完全版となっており、
カルタグラ本編をクリアするとそのまま後日談に当たるサクラメント編を読むことができました。
ただ、サクラメント編で描かれている物語は、トゥルーエンドの場合であっても1952年(昭和27年)12月から1955年(昭和30年)までの間であり、
「殻ノ少女」の物語が始まる1956年(昭和31年)までの間にまだ空白の1年間が存在していました。
これまでどの媒体であっても、この間に起きた出来事が語られたことはありません。
しかし!!
Nintendo Switch版カルタグラの初回限定版を買えば!!!
描かれていなかった時期に秋五たちの身に何があったのかが垣間見れる可能性が高い!!!!
すごすぎる!!!!!
過去3回の画展における公式図録の付録小説ですら描かれていなかった時期のことが、ついに知ることができるとは、何たる僥倖!!
巷では探偵としての能力に欠けるだの、活躍の場をド変態妹にかっさらわれただの、発展家だのすけこましだの人でなしだのとアレコレ言われることもある高城秋五さんですけれどもね!?
彼がその後、どのような愛を育んでいったのかを見られる機会があるというのなら、絶対に見逃すわけにはいかないんですよ!!!!!
それがこの物語のヒロインに対する最大限の礼儀にもなるから!!!!!
・全年齢版移植は単なる劣化対応ではなく、補完対応である!
しかも本作は18禁作品から全年齢作品に移植されるにあたって、原画家である杉菜水姫氏の描きおろしイラストが追加されるというじゃないですか!!!
これは、どうしても18禁版カルタグラおよびサクラメントにあったエログロなシーンを全年齢版でそのまま描くわけにはいかないので、
・ヒロインとのHシーン ⇒ 誰かの回想シーンや会話シーンへの置き換え
・殺害シーンやグロイ遺体のシーン ⇒ 残虐すぎる部分は画角を工夫するなどして見えないようにカット
・露骨に性的・暴力的なセリフ ⇒ 穏当なセリフに収録しなおすか、セリフの一部分をカット
(具体例:女郎 ⇒ 夜の蝶、拷問 ⇒ 単語をカット、食人描写 ⇒ 仄めかすにとどめる)
ーーといった対処がPS2版カルタグラにおいては取られていました。
これら対処によって元のシナリオから若干の余白が生まれたことにより、
その穴を埋めるためにPS2版カルタグラでは原作カルタグラで語られていなかった物語の補完がなされたり、
原作カルタグラには存在しなかった個別キャラクターとのエンディングも増えていたりしたので、
悪いことばかりではありませんでした。
しかしPS2版カルタグラについては追加イラストの担当者が杉菜水姫氏ご本人ではなかったため、
どうしても若干そのほかのスチル絵とくらべると場面が浮いて見えてしまうという如何ともしがたい弱点がありました。
それが今回はどういうことでしょう。
Nintendo Switch版カルタグラにおいては、杉菜水姫氏ご本人の美麗なタッチのイラストで、新規シーンが描かれることになるわけですよ!!!
いやこれもう、単なる全年齢移植にとどまらないですよ!?
ストーリーが増強されたFHDリメイク版カルタグラを、さらにストーリー補強するって言っているのに等しいわけです。
完全版だったカルタグラFHDリメイク版を、究極完全版にしようとしていると言っても過言ではない!!!!
もちろん、18禁作品だからこそ描ける大人チックでエッッッッッなシーンや、身も心も削り取るような残酷なシーンだって作品の魅力なわけで、
それらが削られた全年齢版を不完全と評する向きもなくはないですが、
そんなもん18禁版と全年齢版どっちもやって、頭の中でストーリーを補完し合えばそれでいいじゃあないですか!!!
全年齢版で興味を持ったあと、18禁版がプレイできる年齢まで待ってプレイしたっていいじゃあないですか!!!
こちとらイノセントグレイ作品のストーリーテーリングに心惹かれて20年ファンをやっているわけで、
新たなストーリーが公開されるってだけでもはやご褒美以外の何物でもないんですよ!!!!!
今から楽しみすぎて絶対に死ねない!!
何があっても生きる!!
・余談1
ちなみにですが、現在判明しているNintendo Switch版カルタグラにはイノグレ作品でよくある「副題」が付いていないことがめちゃくちゃ気になっています。
(※リンク先の一部18禁注意)

18禁版カルタグラの副題は「ツキ狂イノ病」で「The sickness of possessory and crazy」、
PS2版カルタグラの副題は「魂ノ苦悩」で「The suffering of soul」。
※ちなみにカルタグラはかつて携帯電話版として物語を3分割した「カルタグラ 旋律ノ螺旋」というものが配信されていた時期もあります。
しかし今回のSwitch版では副題が表記されず、新規公開されたパッケージイラストのタイトルロゴには「an affliction of the soul, in which love twists into obsession and madness」という英文が記されていました。
※直訳すると「愛が執着と狂気に変わる魂の苦悩」
これは18禁版カルタグラのキャッチコピーである「それは、妄執と狂気に至る愛」と、カルタグラという言葉の本来の意味である「魂の苦悩」を掛け合わせた意味なのでしょう。
※PS2版カルタグラでは「狂気」というフレーズがセンシティブ判定される恐れがあったのか「それは、すべてを焼き尽くす妄執の愛」というキャッチコピーに差し替えられていました。
それからするとSwitch版では英文とはいえ「狂気」=「madness」という単語をタイトルの説明文として使おうとしているわけですから、より原題に近しくて「crazy」よりかは語感が丸まってそうな表現にしようという工夫が見られますね。
まだ副題が発表されていないだけか、それとも「殻ノ少女」シリーズに合わせて副題を付けない方針に切り替えたのか、どっちなんでしょうね……?
・余談2
いにしえのイノグレファンの中には、PS2版カルタグラの存在を覚えていて、かつ2023年発売のカルタグラFHDリメイク版を未プレイという方も少なからずいらっしゃるようで。
過去のブログ記事でも何度か触れていますが、改めて明記いたします。
カルタグラFHDリメイク版には、全年齢PS2版カルタグラにおける追加要素は一切反映されておりません!!
PS2版にのみ追加されているエピソードやら、追加エンディングのルートやらも、すべてFHDリメイク版には含まれていません!!
そして今回発表されたSwitch版のカルタグラは、FHDリメイク版を全年齢向けに一部表現を改変し、ところによりシーンが追加されることが明かされています。
これは原作カルタグラからPS2版カルタグラに移植されたときと同様に、原作のエログロシーンを排除する代わりに、新しいシーン(および描きおろしイラスト)が追加されることが示唆されています。
18禁描写の有無よりも、ストーリーの追加を重要視するファンにとっては、新しい物語が描かれることを喜ばしく思わずにはいられません。
はてさて、今回も語りたい欲求が大爆発してしまいました。
ひとまず初回限定版の予約が開始したら即座に注文して、今年のクリスマスはカルタグラでパーリナイしたいと思います。
※年末は仕事納めやらグラブルフェス2025やらコミケやらでクッソ忙しいんですが、そこはもう愛と根性でやってやりますよ……!!!