悪意ある善人による回顧録

レビューサイトの皮を被り損ねた雑記ブログ

カルタグラ~ツキ狂イノ病~《REBIRTH FHD SIZE EDITION》 その0

***注意はじめ***
以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。

また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。

当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。

***注意おわり***

 

・前段

お久し振りでございます。

 

筆不精がたたり、月に数回の呟きをするばかりで最後にブログを更新してからもうすぐ2年が経ちそうな勢いで恥ずかしいばかりです。

 

しかし、今回ばかりはつぶやきだけでは到底語りつくせぬほど言いたいことがあるため、敢えてブログをしたためることにした次第であります。

 

本日ついに、全イノグレファン待望のビッグニュースが舞い込んできました。

 

カルタグラFHDリメイク発売日決定!

(2023年4月28日)

カルタグラ~ツキ狂イノ病~ FHD (18歳未満閲覧禁止!!!)

 

 

新オープニングムービー及び新テーマ曲公開!

 

 

 

……もうね、本当にもうね、この日をどれだけ心待ちにしてきたことか。

 

カルタグラの発売が2005年4月28日、

 

阿久井が初めてプレイしたPS2カルタグラの発売が2005年12月15日、

 

実に18年ぶりのリメイクですよ!?

 

発売当初生まれた子供が、成人向けゲームをプレイできてしまう年数が経ってるわけですよ!?

 

長かった……本当に、長かった。

 

辛い事ばかりの人生だったけれど、心の底から大切で大好きな作品の新たな1ページに再び相見える幸福に感謝を。

 

ここまで活躍しつづけてくれたイノセントグレイにも万雷のごとき拍手を捧げたい。

 

 

 

・新オープニングについて

カルタグラのオープニングムービーはそれぞれ100回以上は見ているけれど、

 

今回のオープニングはまた一味違った趣の作り方をしていて興味深い。

 

旧2作のオープニングでは、登場人物の紹介を兼ねて作品全体の雰囲気を余すところなく表現することに力を入れていたように感じる。

 

一方の新オープニングでは、最初から最後まで一貫して『上月由良』という女性の哀しいまでの心の吐露を映し出そうとしているように思えた。

 

 

原画兼ディレクターの杉菜水姫氏の絵のタッチが18年前と比べると水彩画チックになっていることもあり、より儚げな雰囲気が強調されている。

 

霜月はるか氏とMANYO氏が再びタッグを組んだ表題曲「孤独の海」は、そんな映像美に哀愁と愛執を際立たせる。

 

悲惨な生い立ちの中、高城秋五という青年との出会いに運命を感じながらも、戦争によって引き離されてしまった由良の悲哀と絶望が楽曲と歌詞に滲み出ていて、もうとにかく胸が苦しくて仕方がない。

 

 

※以下、動画からの耳コピ。正確な歌詞・表記ではないので注意。

 

⇒2023年2月22日 更新

 本日到着した「孤独の海 イラスト&絵コンテ集」に歌詞の手書きメモが併記されていたので、それを正式版と仮定して表記を訂正しました。

 

震える唇から 漏れ出す吐息もまた
混ざり合う悦びを 得ることもなく消え去った

 

孤独を食み 渦巻く感情に
絡みとられ 動くこともできず
顔をふさぎ 闇に沈み込んだ
私の中 彷徨うの

 

行かないで その背中を見つめて
触れてしまえば すぐにひびらく
波の音がかき消す
きっとこのままいられるはずないでしょう

※ひびらく(疼く)=ひりひり痛む。 ずきずきする。

 

「行かないで」と秋五に哀願したとき、由良はまだ年端も行かない少女だった。

 

秋五の後ろ姿が映し出されるシーンが、まるで涙で滲む目で何度も瞬きをしたかのような情景を映像のブレで表していて、やるせなさで言葉に詰まってしまう。

 

ちなみに、PC版とPS2版とではレーティングに差があることから、出征を告げてきた秋五を引き留めようとする由良の行動にかなりの差があることも言い添えたい。

 

PC版では愛を喪う絶望ゆえに、愛情と執着がそのまま呪いに変わってしまったかのような佇まいで秋五の首に手をかける。

 

一方でPS2版では、愛はもちろんのこと秋五の命が見知らぬ地の果てで失われる現実に耐えられず、まるで幼子の駄々のように、縋りつくような思いで心中を図ろうとする。

 

どちらにせよ一度は「失くすくらいならいっそ」という行動に出てしまうのが実に哀しいところだが、由良の置かれた境遇を考えるとやはり同情的になってしまう。

 

自分にとって唯一「幸せ」だと言える何かを理不尽に取り上げられそうになったら、もう他に生きる希望が何一つ残されないのだとしたら、きっと誰だって死に物狂いで「それ」を留めておこうとするに違いない。

 

由良にとってのその手段が「死と言う名の永遠」しか考え付かないほど追い詰められているというのが、どうしようもなく哀しくなってしまうが。

 

 

 

……あと話は変わるが、テーマ曲が新しく書き下ろされるにあたり作品自体にちょっとしたイメージの変更があることも見逃せない。

 

これまでのカルタグラのテーマ曲「恋獄」「LUNA」「硝子の月」では、いずれも曲中で「月」を連想するフレーズが多く含まれていた。

 

しかし今回のテーマソング「孤独の海」では、映像からもわかる通り海中や波打ち際を連想する表現が多々含まれている。

 

これはもしや、ダンテの神曲において煉獄篇の始まりが、地獄巡りから脱出したダンテが海のような世界を目の当たりにするところから着想を得ているのだろうか。

 

 

 

あとさらに話は変わるが、ムービー中に出てくる和菜の表情があまりにも凍り付いていてドキッとさせられた。

 

一度でもイノグレの過去作に触れたことがある人であれば、上月和菜という人間の天真爛漫な明るさはイヤと言うほど知っているはず。

 

『余程のこと』でもない限りあんな虚無に満ちた表情をする女性ではないはずなのに、一体どういうことなのか気になって仕方がない。

(そもそも、アレが本当に和菜本人なのかも含めて)

 

 

 

なんにしても、この限られた映像の中にちりばめられた真意を知るには、実際にゲームをプレイするしかないというのがもどかしい。

 

嗚呼、早く月日が経ってくれないものだろうか!!!