悪意ある善人による回顧録

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天ノ少女《PREMIUM EDITION》 その4

***注意はじめ***
以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。

また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。

当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。

***注意おわり***

 

・余談

今回はまとめ「その2」と同様に、2週目以降で解禁となる章立てについて差し障りない程度に述べていきたいと思う。

 

『capitolo1 月天』

昭和33年1月31日(金)~2月18日(火)までの出来事。

「天罰殺人事件」が表沙汰になるまでの経緯について。

無料公開された「前日譚」に犯人や第三者視点のエピソードが要所要所に加えられているため、「caplitio0 火焔天」の表示はない。

 

 

『capitolo6 木星天』

昭和39年2月14日(金)~2月21日(金)までの出来事。

「天罰」を模した新たな遺体が発見され捜査を始めるのは同じだが、1週目の昭和33年3月15日(金)に起きた衝撃の展開を防いだことによって未来が大きく変わる。そのため、「capitolo4 太陽天」の表示はない。

 

また、冒頭部に「とある少女」が誘拐事件を目撃する描写が追加されるほか、玲人たちが事件を捜査する傍らで何が起きていたのかが被害者視点で描かれるという違いがある。

(2週目時点ではイノグレ特有の第三者視点描写である縦書き文にて無音声で描写される。END2「Grand END」に到達したあとにこれらの場面を見返すと、通常の横書きかつ音声ありにシーンが差し変わるため、本作のすべてのボイスを聞き漏らさないためには最低3週以上のプレイが必要になるため要注意である。)

 

 

『capitolo7 土星天』

 昭和39年2月21日(金)~2月24日(月)までの出来事。

上記の通り1週目と大きく違う点がある為、玲人がとある人物に対して確信に迫る質問をするシーンが追加される。これがのちの展開の伏線となっている。

2週目以降で展開が異なっていることから、「capitolo5 火星天」の表示はない。

 

 

『capitolo8 恒星天』

昭和39年2月24日(月)~2月27日(木)までの出来事。

玲人は事件の真犯人を突き止める。その過程で玲人は思いもよらなかった事実を突きつけられ、とある決断を迫られる。

その直後に新たな事件が発生し、玲人は過去の因縁に終止符を打つことになる。

 

 

『capitolo9 原動天』

昭和39年春の出来事。(時期不明)

END2「Grand END」へ進むことが確定した場合の章立て。

 

「六識事件」から始まるすべての因縁に決着をつけたことを亡き婚約者・深山由記子の墓前で報告する玲人。

朽木家にも訪れ、仏壇に飾られた冬子の遺影を前にして、過去の全て受け止め生きていく決意を固める。

 

このあとエンディングロールが流れ出す。曲は2015年に本作のエンディング曲であると発表されていた「輪廻の糸」。歌唱は霜月はるか氏である。

 

ああ、これで物語は終わってしまったのか……と思いきや、エンディングロールのあとに「karano shojo Grand end」のテロップが表示されると、そのあとも何事もなかったかのように物語が続いてしまい、最初は呆気にとられた。

 

ここから小一時間近く「とあるイベント」についての描写がされるわけだが、この点も一定数の読者から非難を受けている個所であるらしい。

(ただまあ非難の内容を見ていると、長ったらしくアレコレと述べている割には「推しカプが結ばれないなんて納得できないからゴミ作品!」と言っているにすぎず、好みの範疇を出ていない。その一点を持って作品全体を否定するのは短絡的過ぎると思うのだが……)

 

個人的には、玲人と「彼女」の関係は「殻ノ少女」での距離感が適切であり、「虚ノ少女」でおかしくなってしまったと考えている。

玲人も「彼女」も大切な人を亡くした者同士でシンパシーがあったのかもしれないが、「彼女」は未来を見ていたのに対して玲人はずっと過去に囚われていた。一番大切な価値観で相違があった時点で二人の行く末はわかりきっていたので、ああなってしまったことはすんなりと納得できてしまった。

(もちろん、玲人が考えを改めて「彼女」のことを第一に考えられるようになっていれば未来は違ったのかもしれないが、心身ともに探偵に成り下がってしまった玲人にはその決断を下すことはできなかったのだろう)

 

では玲人はひとりきりになってしまったのかというと、そうでもない。その点は妹である紫と『彼女』の会話で明示されている。玲人の性格上、『彼女』と結婚することはできないのかもしれないが、それでも『彼女』が「まかせて」と紫に述べてくれたことは素直にうれしい。

(ただ、『彼女』が「True END」を迎える昭和46年の時点でも玲人を支え続けてくれているかどうかは、作中でも後日談の小説2作でも触れられていない。そこだけが一抹の不安として残ってしまったが、否定されていない以上は好意的に受け止めることにしたい)

(どうでもいいけど「彼女」だの『彼女』だの代名詞が多くてややこしいな……ネタバレ禁止は本当に厄介である)

 

 

『capitolo10 至高天』

昭和46年3月4日(木)の出来事。

END1「True END」へ進むことが確定した場合の章立て。

昭和39年2月27日に起きた出来事で、玲人がとある選択をすると迎えることのできる真の結末。

 

すべての因縁に決着をつけ、すべての未練を断ち切った玲人。

とある新聞記事を眺めても彼は一言「くだらねぇ」と言葉を漏らすだけだった。

由記子が殺されてから20年。冬子と出会ってからは15年が経った今でも、彼は探偵を生業としていた。

そしてある日、そんな玲人の前に……

 

……と、これ以上は述べることはできない。とにかく凄いものが見られるとだけ言っておこう。

 

例のシーンの真価が発揮されるのは、「殻ノ少女」「虚ノ少女」をプレイしているのはもちろんのこと、過去2作がどのような物語だったのか記憶が新しいうちに読んだときだと考える。本作に興味を持ったのであれば、悪い事は言わないから最低でも「殻ノ少女」「虚ノ少女」をプレイすることをお勧めする。

(より没入感や話の背後関係を知りたいのであれば、初代作品「カルタグラ」もプレイした方がよい。ただし、「カルタグラ」については現在イノグレよりHDリメイク版の開発が示唆されている。発売がいつになるかはわからないため、今すぐプレイするかリメイク版が発売されるのを待つかは個々人の好みにゆだねたい)

 

 

 先述の「凄いもの」を拝んだあとはエンディングロールが流れ出す。

このとき流れる曲は事前発表のなかった「True END」専用の特別なものになっているため、曲名すら述べることはできない。ただひとつ言えることは、ちゃんとよく歌詞を聞き取ってほしいということ。

その意味に気づいたとき、きっと涙する読者もいるはずである。

 

 

 

 

 

さて、ネタバレに配慮しつつふわっと章立てを記録するのは今回で終了である。

 

次回更新はいつになるかは未定ではあるが、各章の間に挿入された「神曲」からの引用文を解析したり本格的な感想を述べたりと書き散らしたいことが山積みであるため、ネタバレ配慮期間が終わってから徐々にしたためていきたい所存である。

 

遅くとも6月ごろには配慮期間は経過したとみなしてもいいのだろうか……?

(そのころには発売から半年経っているし、いろいろとぶちまけても良い……のか?)

 

 

 

あとは余談だが、最後に付け足しておきたいことがある。

本作は紛うことなき18禁ミステリゲームであるが、今回においてはこの18禁要素は殺人事件の残虐さに集約しているので注意が必要である。

 

なにが言いたいのかというと、過去のイノグレ作品には普通に存在していたHシーンが皆無なのである。そのため、本作ではシーン再生という概念すら存在しない。

 

イノグレ作品の原画担当である杉菜水姫氏のイラストは非常に耽美な出来であるため、それらを期待していた読者層には思いっきり肩透かしを食らわせる展開となってしまったようで、この点も一定数の読者から蛇蝎のごとく嫌われている要素である。

 

ただまあ個人的に阿久井はPS2版「カルタグラ」からの参入者であるため、Hシーンの有無は作品の評価という観点からはどーーーでもいいことであると考えている。

むしろ今までの物語は、必然性のないエロがそこかしこに見受けられていたため、ミステリ・サスペンスという作品性から考えると余計だと思われるものもあったから、逆に物語の展開に集中できて良かったとすら思えた。

(まあ、まったくないというのも極端ではあるけれど……)

(ちなみに、R-15にも満たないような「濡れ場」は何回か描かれているものの、これまでのHシーンと比べれば非常に質素な描写になっており、上述の通り物語上の必然として描かれているに過ぎない。過度な期待は厳禁である)