悪意ある善人による回顧録

レビューサイトの皮を被り損ねた雑記ブログ

クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 第11話

***注意はじめ***

以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。

また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。

当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。

***注意おわり***

 

アンジュがアルゼナルに戻り1週間が過ぎた。脱獄の罪に問われアンジュが牢に入れられているころ、アルゼナル上空に大量のドラゴンが現れた。アンジュにライバル心を燃やすサリアは、自分こそがヴィルキスの乗り手に相応しいとしてヴィルキスに乗って出撃する。そのとき、ドラゴンを率いる謎のパラメイルが異空間から現れて……

 

 

今回の話は構成上、サリアの悋気が爆発して暴走した前半と、ドラゴンを率いる謎の人物が登場した後半とに大きく分かれる。

 

ジル総司令官は昔、アレクトラという名でヴィルキスに乗っていたらしい。しかしジルには「資格」がなかったため、ヴィルキス本来の性能を発揮できず、仲間を大勢死なせてしまった。

 

ジルの右腕はこのときに失われたらしい。

 

パラメイルの搭乗員としてのジルを尊敬していたサリアは、いつか自分もジルのような兵士になりたいという夢があった。そのため彼女は、誰よりもヴィルキスに乗ることにこだわっていた。

 

ただ、作中人物たちの会話から察するに、ヴィルキスという機体は他のパラメイルとは一線を画する何らかの特殊な技巧が施されている模様。そして、その性能を活かす為には常人が持たない何らかの要素が必要らしい。

 

「何らか」と連呼しているとわけがわからなくなりそうだが、今回の話ではその答えになりそうなものが見えてきた。

 

それは、物語の後半になって登場した謎のパラメイルがヒントになる。

 

突如として異空間から現れ、いきなり謎のビームによってアルゼナルの広域を抉り取った謎のパラメイル。この機体に乗っていた巫女風の女性が歌を歌うと、パラメイルが黄金に輝き出して、絶大な攻撃力を誇るようになる模様。

 

この「歌」というのは、アンジュが女王から伝えられた「永遠語り」にそっくりなのである。

 

敵方の乗り手が歌っているのに気付いたアンジュは、自分が知っている永遠語りを歌い始める。すると、二つの歌は見事にセッションになっていたのである。

 

ドラゴンを率いる巫女風の女性は、「なにゆえ偽りの民が、真のホシウタを?」とアンジュに問うたが、これはいったいどういう意味なのか。

 

ドラゴンが異世界から侵略してきていることから、この物語には少なくとも二つの異なる世界があることは疑いがない。ただそうなると、そのもうひとつの世界にも人間が住んでいて、そこの住民こそ「真実の民」にあたるということなのか。

 

ドラゴンの世界に人間が住んでいそうということは、オープニングに入る前に挿入されたシーンでも示唆されている。

 

あのいけ好かないアンジュの兄・ジュリオが、近衛隊長である女性に篭絡されていたのだが、その女性の背中に龍の羽が生えていたのである。

 

となると、「真実の民」というのはドラゴンに変身できる人間ということなのか。それはつまり、侵略してきているドラゴンたちも向こうの世界の人間たち、ということなのか。

 

うーむ、考え出したらキリがない。なんにしても非常に気になる……

 

 

いやそれにしても、正体を現した近衛隊長に襲われるアンジュの妹・ヴィヴィアンが、今わの際(死んだかどうかは知らんけども)に「助けてアンジュリーゼお姉さま!!」と叫んだときにはこめかみの血管がぴくぴくして仕方がなかった。

 

ああ、なんて都合のいいことしか言わないヤツなんだ、と。

 

この物語に登場する人間は、基本的に自分本位なヒトばかりで残念すぎる。

 

自分がノーマだと知ってうらぶれまくっているアンジュもそうだし、脱走を図るためだけに周りを出し抜いていたヒルダもそう。ヒルダの脱走を期に手のひらを返したクリスもそうだし、状況判断もできないほどヴィルキスにこだわるサリアもそう。

 

こんなに自分勝手な人間ばかりでよくもまあ物語が成立しているものだと、ある意味感心する。それでも話がおもしろくなって来ているから、いまはそれでいいけれど、これ物語の後半になるにつれて人間関係の亀裂が深くなっていくパターンなのでは……?