悪意ある善人による回顧録

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天ノ少女《PREMIUM EDITION》 その2

***注意はじめ***
以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。

また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。

当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。

***注意おわり***

 

・余談

ゲーム発売からおよそ一か月ほどが経過し、ようやっと1週目が終了した。現在はぽつぽつと2週目をプレイしている真っただ中である。

 

正確には終了したと思われるほど選択肢を選びつくし、新たなエンディングが見られない状況に達したため、ようやく記録に残せる段になっただけだが。

 

もう言いたいこと書きたいことがあふれかえっているが、まだネタバレ全開で書き散らすには発売してから日が浅いため、事件の核心に触れない範囲でふわっと概要を残しておくことにする。

 

1週目で確認できた章は次の通り。

 

『capitolo2 水星天』

昭和33年2月19日(水)~3月2日(日)までの出来事。

「天罰殺人事件」が一応の解決を迎えるまで。

 

『capitolo3 金星天』

昭和33年3月3日(月)~3月15日(土)までの出来事。

警視庁に長らく勾留されていた六識を巡る驚愕の展開。

 

『capitolo4 太陽天』

 昭和39年2月14日(金)~2月21日(金)までの出来事。

衝撃的な事件から6年が経過。未だ偏執に囚われる玲人の前に再び「天罰」を模した被害者が現れる。

 

『capitolo5 火星天』

 昭和39年2月21日(金)~2月24日(月)までの出来事。

過去の事件と現在の事件が交錯する。

 

 

まとめ「その1」でも記載したが、本作の章立てはダンテの「神曲 天国篇」で登場する天国界の層の名前がそのまま使われている。

ちなみに「無料体験版という名の前日譚」では『capitolo0 火焔天』と表示された。

 

聡い読者はこの時点で気づいただろうが、なぜか1周目のプレイ時には天国界の第1層である「月天」という章立てが現れない。

 

この疑問は2月24日にとあるエンディングを迎えたあとに開始される2週目をプレイすればすぐに解決する。

 

ちなみに2週目への入り方は、タイトル画面に「画廊」ボタンが選択できるようになったのを確認してから改めて「開始」ボタンを押すだけでいい。

 

すると、2週目の開始を知らせるように『capitolo1 月天』の章立てが表示され、作中における重要人物の独白が始まる。

 

この独白が終わると、先に述べた「無料体験版という名の前日譚」に第三者視点を追加した内容が再演される。(イノグレが事前発表していた「前日譚」を本編でも見れる条件というのが、2週目を開始する事だったのだろう)

 

 

 

いやまあ、それにしてもなんというか……本作もなかなかのボリューム感があってまったく真相にたどり着く気配がない。

虚ノ少女」並みの長編大作かどうかはまだ話半ばでわからないが、少なくとも1週目終了の時点ではスチルの3分の1ほどしか埋めることはできなかった。

 

エンディングリストに掲示された14の結末の内、1週目で開けることができたのはEND6からEND14までの9つのみ。それも2月24日に迎えられるEND6を除いた8つは選択肢や推理のミスによるバッドエンドである。

唯一エンディングテロップの流れるEND6についても「事件の犯人っぽいヤツは捕まったが、結局何もわからないまま」という何ともすっきりしない幕切れを迎えてしまう。

 

 

2月24日の時点で怪しい人物の目星はついているのに、その人物を追い詰めようにも1週目では必要な手掛かりを入手するフラグや選択肢が表示されない設定になっているのだろう。なんとももどかしい限りである。

 

 

 

 話は変わって、1週目で垣間見た物語についても少しだけ述べておきたい。

 

まず、本作の発売にあたって大々的に宣伝された「天罰殺人事件」について。

遺体の禍々しさや狂気的な美しさは過去作を彷彿とさせるものがあるが、イノグレ作品すべての中で最も驚かさせられる展開があったため、非常に興奮してしまった。

これまでミステリとしてはややパワー不足な展開が多かったイノグレ作品がついに本気で牙を剥いてきたと慄かされた。まさか人物相関図まで使った伏線だったとは……

 

 

次に六識を巡る衝撃の展開について。

「天ノ少女」の予告ムービーを見た者であれば察している通り、彼は恋人だった女性の妹であるステラの前に姿を現す。何故そうなったのかについては察して欲しいが、このあたりの展開は「羊たちの沈黙」を思わせるサイコな話運びだった。

(バッドエンドの一つに朽木兄妹が犠牲になるものがあるが、あの場面の六識はまさしくハンニバル博士に思えた。自分が狂人であることを自覚しているのに、さもまともそうに振る舞う偽善ぶりに反吐が出たが)

 

そして何より、本作では八木沼の存在が大きい。

イノグレの処女作である「カルタグラ」から続投し続けた彼にもついに焦点が当たり、それはもう驚くべき展開が待っている。あまりの展開にしばらく言葉を喪うほどだったが、これはおそらく2週目以降で何かしらの変化がある展開だと見た。(END11のタイトルからして、「殻ノ少女」における和菜のような立ち位置だと考えられる)

 

 

最後に、作中でいきなり6年が経過するという超展開について。

昭和33年3月15日に起きた衝撃的な出来事のあとも、玲人は冬子の忘れ形見である子供を探し出せないままでいた。6年も経ってしまうと人間関係にも当然変化が見られ、いろいろと驚かされてしまった。

 

紫は家を出て大学で虫の研究室に所属してしまうし、真崎は画廊に再就職して探偵助手はパートタイマーになってしまうし。

 

何より一番驚いたのは、時坂家で一人きりになってしまった玲人のもとにステラがちょくちょく訪れるようになったことである。

それもうほとんど「通い妻」なんだが、これまではただの知人だったはずが、一体どうしてそうなった!? なぜその経緯を省いた!? これも2週目以降限定の描写なのか!?

 

 

……もう他にもいろいろと言いたいことは山積みだが、とりあえず先の展開も気になるので今回はこの辺で収めることにしたい。

 

久々に攻略サイトを見ずにプレイしているだけあって時間がかかるが、初見のゲームにおける醍醐味でもあるためまだまだ楽しむつもりである。

 

。。。