逆転裁判 ~その「真実」、異議あり!~ 第24話(終)
***注意はじめ***
以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。
また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。
当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。
***注意おわり***
第24話「さらば、逆転 Last Trial」
王都楼の裁判における最後の証人。それは、被害者を殺害した殺し屋・虎狼死家左々右エ門だった……などの展開。
インコのさゆりさんに続く、前代未聞の証人その2である虎狼死家。本人が裁判所に来てしまうと逮捕されてしまうため、彼の顔に酷似した無線機を通しての証言というこれまた前代未聞の証人尋問となった。
筆者が知る名前による性別誤認のネタは、この作品が始めてである。その後いくつかの作品でこのネタが使われても、必ず最初に思い出すのが逆転裁判になるという。
王都楼を有罪にすれば真宵の、無罪にすれば華宮さんの人生が終わってしまう。
この究極の二択を迫られたとき、成歩堂は弁護士として真実を追究する道を選ぼうとした。
それはつまり、真宵を切り捨てることになりかねない選択だったわけだが、神は彼を見放さなかった。
成歩堂が真実をぶちまける直前に、狙撃されて入院していたはずの狩魔冥検事が裁判所に乱入してきたのである。
たしかこの配役は糸鋸刑事だったような気がするが、気のせいだろうか。
彼女の登場によって、虎狼死家は王都楼に裏切られていたことに気付き、事件は無事解決した。
被告人が有罪になってみんなが嬉しそうにするという、なんとも奇妙な構図ではあったものの、被告の王都楼がクソ外道なためそれはそれでいいかと思える展開だった。
いちおう、アニメ化された逆転裁判はキレイに話をたたんでくれたように思う。
本当なら、逆転裁判3の範囲までアニメ化すると、「成歩堂龍一」の物語としてはもっとキレイに片がつくのに、と心残りはあるけれど。
それでも、15年間もファンをやってきて成歩堂や真宵たちが動いている姿を目にできたことだけは嬉しく思う。
第23話「さらば、逆転 3rd Trial」
***注意はじめ***
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***注意おわり***
第23話「さらば、逆転 3rd Trial」
藤見野を殺した犯人は殺し屋・虎狼死家左々右エ門。そしてその殺し屋に殺人を依頼した真犯人こそ、成歩堂の依頼人である王都楼だった。真実を知ったにもかかわらず、真宵の命を盾にされて王都楼の無実を主張させられる成歩堂は……などの展開。
王都楼のクズっぷりが上手く表現されていた今作。
逆転裁判に登場する悪役のなかでも、下衆さだけなら1・2を争うと思われる人物だけあって、イライラも凄まじかった。
犯人とわかっている人物の無罪判決を勝ち取らなければならないというジレンマに苦しむ成歩堂に対して、御剣は「真実」こそが法廷に立つ意味だと告げる。
弁護士の使命は依頼人の利益を守ること。検察官の使命は被疑者を追及してまっとうな裁きを受けさせること。
どちらの立場に立ったとしても、真実から目を背けて使命をまっとうしようとしても歪みが生じる。
だからこそ、まずは真実を受け止め、それからどうするべきかを自分の職務に照らし合わせて考えろ、ということなのかもしれない。
次回、いよいよアニメ「逆転裁判」は最終回を迎える。
たった半年間で終わってしまうとは、なんとも悲しい気分だが、それについては最終回の感想で述べたいと思う。
クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 第12話
***注意はじめ***
以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。
また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。
当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。
***注意おわり***
アルゼナルがドラゴンたちの急襲を受け大損害を受けている頃。マナの満ちた世界の首脳たちは今後の世界運営についての密約を交わす。彼らに口添えする謎の男・エンブリヲ。彼の言葉によって、世界は「作り直される」ことになった。一方その頃、アンジュはジル総司令官にこれまでの疑問のすべてをぶつける。そしてアンジュは、この世界の真実を知ることになるのだが……などの展開。
たぶん、物語の黒幕的な人物が登場したのが今回の話と思われる。
謎の男・エンブリヲ。その正体は、なんと「マナの満ちた世界」を作り上げた創造主だという。
現実世界を生きる筆者から見ても歪だった世界は、このエンブリヲを名乗る謎の男によって文字通り「作られた」世界なのだという。
そこに生きる人間たちも、彼らが身につけている「マナ」という特殊技能も、すべて彼が作ったものなのだという。
……もはや科学の領域を遥かに超える技術だと思われるのだが、彼は本当にただの人間なのだろうか。
まあ、だからといって「マナの満ちた世界」に生きる人間の多くがゴミクズに思えたのは、作られた存在だったからというのは早計だろう。
赤ん坊の頃からアルゼナルに収容されているというエルシャや、マナを使えるモモカなど、こんな狂った世界に生まれてもまともな人間性を備えている者も少数派だが存在はする。
狂った人間が多いのは、「ノーマ」という突然変異体を必要悪として差別するように仕向けてきたエンブリヲのせいなのだろう。コミュニティを維持するために、違うものや弱いものを徹底的に虐げるというのは古代から繰り返し成されてきた常套手段ではあるものの、「争いのない平和な世界」を作りたくて新たな人類を作ったくせに差別を肯定するというのは、なんとも自己矛盾が過ぎる気がするのだけれど。
一連の話をアンジュに教えたジルが、ガリア帝国とやらの第一皇女だったというのも驚きだが、それゆえにちょっと萎える情報もあった。
ヴィルキスが、「マナの満ちた世界」の創造主によって作られたものであり、それを操縦するために「高貴なる血」が必要だった、とうネタ晴らしがあったためである。
アンジュも含めて世界中の人間が作り物なのだとしたら、そのどこに高貴さがあるのかという失笑ものの疑問と、伝説の勇者にしか抜けない剣(笑)という弱肉強食を絶対肯定するような設定に対する皮肉めいた微笑しか浮かばなかった。
……まあ、そうじゃなきゃとある国の第一皇女殿下を主役に据える必要もないわけだから、必要な設定といえるかもしれないけれど。
(とはいえ、個人的には異世界に飛ばされて無双する一般人の話も同等に嫌いなわけで、そうなると「平凡な人間が頑張って功績を遂げる」話しか好みの領域に残らなくなってしまうわけだが)
ジルたちが企てている「リベリタス」とは、この壊れた世界をぶち壊すことだった。
そこでジルたちが手を組んだのが、「マナの満ちた世界」に受け入れられなかった旧世界の人間たちなのだという。彼らは「ノーマ」と同じくマナが使えないらしい。
謎の青年・タスクもその一人というわけか。
世界の真実を知ったアンジュが「リベリタス」に協力するかをたずねられたとき、その応えは意外にもNO。
アンジュはいまの生活が気に入っているからとジルの要請を拒絶した。
まあ、ノーマであるというだけで王女から一介の兵士にまで身をやつしたアンジュなら、これ以上余計なことに巻き込まれたくないという発想になっても仕方がないのかもしれないけれど。ただ、ジルに対する反発心から発作的に拒絶したとも受け取れるか。
物語の後半になって、仲間の一人であるヴィヴィアンがドラゴンに変身してしまった件から、アンジュたちがこれまで戦ってきたドラゴンの正体が人間であると判明。
異世界から攻めて来る人間というと、先に述べた「旧世界にとり残された人類」と同じと考えていいのか。旧世界の人間すべてが龍になれるのか、タスクはどうなのか。っていうかヴィヴィアンは何者なのか。
わからないことだらけである。
クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 第11話
***注意はじめ***
以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。
また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。
当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。
***注意おわり***
アンジュがアルゼナルに戻り1週間が過ぎた。脱獄の罪に問われアンジュが牢に入れられているころ、アルゼナル上空に大量のドラゴンが現れた。アンジュにライバル心を燃やすサリアは、自分こそがヴィルキスの乗り手に相応しいとしてヴィルキスに乗って出撃する。そのとき、ドラゴンを率いる謎のパラメイルが異空間から現れて……
今回の話は構成上、サリアの悋気が爆発して暴走した前半と、ドラゴンを率いる謎の人物が登場した後半とに大きく分かれる。
ジル総司令官は昔、アレクトラという名でヴィルキスに乗っていたらしい。しかしジルには「資格」がなかったため、ヴィルキス本来の性能を発揮できず、仲間を大勢死なせてしまった。
ジルの右腕はこのときに失われたらしい。
パラメイルの搭乗員としてのジルを尊敬していたサリアは、いつか自分もジルのような兵士になりたいという夢があった。そのため彼女は、誰よりもヴィルキスに乗ることにこだわっていた。
ただ、作中人物たちの会話から察するに、ヴィルキスという機体は他のパラメイルとは一線を画する何らかの特殊な技巧が施されている模様。そして、その性能を活かす為には常人が持たない何らかの要素が必要らしい。
「何らか」と連呼しているとわけがわからなくなりそうだが、今回の話ではその答えになりそうなものが見えてきた。
それは、物語の後半になって登場した謎のパラメイルがヒントになる。
突如として異空間から現れ、いきなり謎のビームによってアルゼナルの広域を抉り取った謎のパラメイル。この機体に乗っていた巫女風の女性が歌を歌うと、パラメイルが黄金に輝き出して、絶大な攻撃力を誇るようになる模様。
この「歌」というのは、アンジュが女王から伝えられた「永遠語り」にそっくりなのである。
敵方の乗り手が歌っているのに気付いたアンジュは、自分が知っている永遠語りを歌い始める。すると、二つの歌は見事にセッションになっていたのである。
ドラゴンを率いる巫女風の女性は、「なにゆえ偽りの民が、真のホシウタを?」とアンジュに問うたが、これはいったいどういう意味なのか。
ドラゴンが異世界から侵略してきていることから、この物語には少なくとも二つの異なる世界があることは疑いがない。ただそうなると、そのもうひとつの世界にも人間が住んでいて、そこの住民こそ「真実の民」にあたるということなのか。
ドラゴンの世界に人間が住んでいそうということは、オープニングに入る前に挿入されたシーンでも示唆されている。
あのいけ好かないアンジュの兄・ジュリオが、近衛隊長である女性に篭絡されていたのだが、その女性の背中に龍の羽が生えていたのである。
となると、「真実の民」というのはドラゴンに変身できる人間ということなのか。それはつまり、侵略してきているドラゴンたちも向こうの世界の人間たち、ということなのか。
うーむ、考え出したらキリがない。なんにしても非常に気になる……
いやそれにしても、正体を現した近衛隊長に襲われるアンジュの妹・ヴィヴィアンが、今わの際(死んだかどうかは知らんけども)に「助けてアンジュリーゼお姉さま!!」と叫んだときにはこめかみの血管がぴくぴくして仕方がなかった。
ああ、なんて都合のいいことしか言わないヤツなんだ、と。
この物語に登場する人間は、基本的に自分本位なヒトばかりで残念すぎる。
自分がノーマだと知ってうらぶれまくっているアンジュもそうだし、脱走を図るためだけに周りを出し抜いていたヒルダもそう。ヒルダの脱走を期に手のひらを返したクリスもそうだし、状況判断もできないほどヴィルキスにこだわるサリアもそう。
こんなに自分勝手な人間ばかりでよくもまあ物語が成立しているものだと、ある意味感心する。それでも話がおもしろくなって来ているから、いまはそれでいいけれど、これ物語の後半になるにつれて人間関係の亀裂が深くなっていくパターンなのでは……?
クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 第10話
***注意はじめ***
以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。
また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。
当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。
***注意おわり***
妹のシルヴィアを助けるためにアルゼナルから脱出したアンジュを待っていたのは、手酷い裏切りだった。妹からの緊急入電は、アンジュをおびき寄せるために兄・ジュリオが画策した罠だったのである。囚われの身となったアンジュは、聴衆の罵倒を一身に受け、いままさに処刑されようとしていた……などの展開。
あー、もう、なんだこの救いのない展開は。
ミスルギ皇国が崩壊したというのは、兄ジュリオが父親を殺して乗っ取ったからという意味だったとは、なんという外道。
どうして生きているだけでここまで迫害されなきゃならんのか、まったく意味がわからないというほどアンジュにつらく当たる兄妹や一般人たち。
いやそれにしても、モモカがアンジュのいるアルゼナルへとたどり着けたことも含めてすべてが罠だったとは、なんという陰湿ぶりだろうか。アンジュを慕うモモカの心まで利用する、下衆の極みな策略である。
前回の感想でも述べたとおり、やはり「マナの満ちた世界」の住民にとって「ノーマ」とは存在するだけでも嫌悪感が走るモノらしい。
たしかに、こんな世界の住人を守るために異世界のドラゴンと死闘を繰り広げなければならないなんて、本当にやっていられない。
(まあ、アルゼナルに収容されるまではアンジュも差別する側にいたからこそ、それがわかったのかもしれないけれど)
これはもしや、いつぞやジル総司令官たちが言っていた「リベリタス」というのは、アンジュやヒルダが冗談めかして語っていた「世界への反乱」を意味しているのでは……?
前回意味深に登場していたタスクは、アンジュを処刑台から逃がすために待機していたらしい。
彼は自分のことを「ヴィルキスの騎士」と言い、ヴィルキスの乗り手であるアンジュを守る役目があるのだという。
まだまだ謎が多い青年だが、今後ともキーパーソンになるのは間違いないのだろう。
キーといえば、アンジュが女王から賜った指輪もそうである。ヴィルキスの機体を変形させるのに一役買ったあのアイテムも、一時はジュリオに奪われていたのにしっかしと戻って来た。「永遠語り」という歌も含めて、いろいろと伏線が張りまくられて気になる。
さっさと続きが見たいものである。
クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 第09話
***注意はじめ***
以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。
また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。
当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。
***注意おわり***
アルゼナルからの脱出に成功したアンジュとヒルダ。アンジュは囚われの妹のもとへ、ヒルダは11年前に離れ離れになった母のもとへと急ぐ。しかし、ノーマと認定された二人が温かく迎えられるはずもなく、それぞれの悲劇が待ち受けていた……などの展開。
……久しぶりにいつかの言葉を思い出した。
「登場人物全員クズ」とは、言いえて妙かなと。
ヒルダの母親はかつて、ヒルダがノーマとして連行されるときには必死に抵抗した。それなのに、11年という歳月のあいだに新しい子どもを設け、その子にヒルダと名づけて育てていた。
本物のヒルダが戻って来たと気付いて喜ぶかと思えば、母親の反応は予想の斜め上をいった。
まさかの「バケモノ」呼ばわりである。
ヒルダの妹に当たるヒルダ(ややこしいな)に至っては、ノーマが現れたと発狂して気絶してしまう始末。
母親はヒルダに対して、警察は呼ばないからさっさと消えろとアップルパイを投げつけたうえ、結局は警察を呼んでいたという非道っぷり。
うーむ、やはり「マナの満ちた世界」とやらの住民たちはみな心に欠陥を持っているようである。自分に危害を加えない相手に対してまで過剰に攻撃してくるとは、なんだか人間の嫌な部分を見せ付けられてイライラする。
たとえるなら、「マナの満ちた世界」の住民にとっての「ノーマ」とはゴキブリのようなものなのかもしれない。現実世界での一般人の多くは、ゴキブリを発見すると異様に怖がり、殺虫剤を乱射して一刻も早く標的を抹殺しようとする。その攻撃行動はゴキブリが人に対して何らか加害行為をしたか否かは関係なく行われる。
とにかく、存在するだけで嫌悪感が走る、といった類の衝動なのだろう。
(まあ、ゴキブリに関しては歩く病原菌の塊みたいな部分があるから、存在しているだけで人間にとっては害になるし、異常な繁殖力によって存在を許せば被害が増大すると言う特徴があるから、人間であるノーマとはまったく状況が異なるとも言るけれど)
いやそれにしても、まさかアンジュの妹までもが差別感情に染まりきっているとは恐れ入った。
「マナの満ちた世界」の教育を受けた人間のはずなのに、アンジュの従者であるモモカは非常にまっとうな人物である。このことからも、狂った教育によってこの世界の住民すべてが狂った差別感情に支配されているとは限らないことは明らかである。
しかし、旧ミスルギ皇家の人間は支配階級ゆえか特に強烈に洗脳教育を施されたのだろうか。シルヴィアがいきなり実の姉であるアンジュにナイフを向けたときの言動は悪寒が走った。
嗚呼成程、之当ニ「登場人物全員屑」ト言ワシメタリ。
アンジュは独断専行こそ強いものの、アルゼナルの環境に染まってちょっとずつまともな人間性を取りもどしつつあるというのに、もとの世界の住人たちのクズっぷりのなんと浅ましいことか。
あと気になるところというと、数話ぶりに謎の青年・タスクが一瞬だけ登場したことだろうか。
なにやらビルの上からアンジュを監視しているようだが、本当に彼はいったい何者なのだろうか。どっかの機関に属するスパイ的な人間なのだろうか。
それぞれ捕らえられてしまったアンジュとモモカ、ヒルダの3人。果たして彼女たちの運命はいかに。うーむ、気になる……
クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 第08話
***注意はじめ***
以下の文面は言葉遣いに乱れが生じたり、ネタバレにあふれる虞があります。
また、本文は筆者である阿久井善人の独断と偏見に基づいて記されております。
当方が如何な感想を抱いたとしても、議題となっている作品の価値が貶められるはずもなく、読者の皆様のお考えを否定するものではないということを、ここに明記いたします。
***注意おわり***
1年に1度だけ、ノーマたちに与えられる休息「フェスタ」。夏の浜辺でお祭り騒ぎをするノーマをよそに、アンジュは暗く沈んでいた。アンジュの悩み、それは妹・シルヴィアからの緊急入電だった。皇家の人間にノーマが混ざっていたことを糾弾され、皇家の関係者たちは処刑されようとしているという。シルヴィアを助けるため、アンジュはアルゼナルからの脱出を試みるのだが……などの展開。
いわゆる、水着回と呼ばれる話だった今回。
とはいえ、元が露出過多な戦闘服を着ている女性キャラクターばかりのアニメのため、水着を着ていようとなんだろうと肌色成分に大した違いはないためそこまでの物珍しさはなかったわけだが。
それにしても、前回ぽろっと説明されたノーマの休息に関する話と合わせて考えてもイライラする設定である。風邪で休めば1日当たり100万もの罰金が生じ、公に認められた休みは年にたったの1回とは、ブラック企業も真っ青なブラック国家である。差別もここまでいくのかと、額の青筋が収まることを知らない。
「フェスタ」の内容も、映画館やら賭博やら運動会やらと多種多様で見ていておもしろかったけれど、サリア隊の問題児の一人であるヒルダがまったく姿を現さないのが気になるところ。
そう思っていたら、なんとヒルダもアルゼナルからの脱出を計画していたというのだから驚きである。
ヒルダの連れの一人であるロザリーは、彼女は昔から何を考えているのかわからないところがあるといった旨の発言をしていたけれど、なるほどそういうことだったわけだ。
ヒルダはただこのときのためだけにゾーラに付き従い、ロザリーやクリスと友達付き合いをしていたのである。すべては、脱出時の手札を増やすためだったのだ。
彼女が見せた愛情も友情もすべてが嘘だったということなら、それはそれは凄まじい執念である。なんとしても元の世界に戻りたいという気持ちはわからなくはないが、元にもどってもノーマを危険視して悪辣な差別を繰り返す異常な世界しか待っていないとわかっているはずなのに。
ふむ、次回はどうもヒルダがメインの回になるようだから、その当たりのことも回収してくれるのだろうか。
それにしても、モモカの気遣いは毎度のことながらグッジョブである。彼女が緊急ハッチを閉じないで居たからこそ、ヒルダも脱出できたわけで。いまのところ本作唯一の良心と言ってもよいだろう。
果たして次回はどうなることやら。